2020年04月06日

【3月定例議会の報告7  予算議案審査(3月6日 予算決算常任委員会総務分科会) 芸術劇場には、一体いつまでいくらお金がかかり続けるのだろうか】

【3月定例議会の報告7  予算議案審査(3月6日 予算決算常任委員会総務分科会) 芸術劇場には、一体いつまでいくらお金がかかり続けるのだろうか】



各分科会別の予算議案審査についての報告です。

今回も3月6日の加藤ゆうすけの質疑について、報告します:


■芸術劇場には、一体いつまでいくらお金がかかり続けるのだろうか




横須賀芸術劇場を知らない市民は、おそらくあまりいないと思います。

https://www.yokosuka-arts.or.jp/information/access/
そうです、汐入駅の目の前にある、背の高い建物に入っている音楽ホールです。

大劇場「よこすか劇場」は約1,800席を有する本格オペラハウス仕様の大ホールで、小劇場「ヨコスカ・ベイサイド・ポケット」は約500席、可動式の床と客席を持つホールです。開館が1994年なので、1988年生まれの加藤ゆうすけ、物心がつく頃には、既にそこにありました。



これまでも先輩議員が幾たびも指摘をしてきたことですが、私も、本市には過大すぎる施設だなぁ…と、機能面からも、財政面からも、思っていました。機能面から申し上げると、私も趣味で音楽(こっそり言いますがハードコア・パンクのドラム)をやっているので音楽仲間がいるのですが、「市民が楽しめる規模のイベントやるんだったら、芸劇(大劇場)よりベイサイド(小劇場)3つあったほうがよくね?」としばしばいわれていました。市民音楽家たちが観客とともに演奏を楽しむに使いやすいホールとは、1,800席のオペラハウスでは決してなかろう、というご意見です。



そして、財政面からは、①建設のための借金 と、②管理・運営費用 の課題があります。①については、建設時の土地・建物の購入に約377億円かかっており、大半を市債(市の借金)で賄っています。その借金の元金と利子を今の今までずっと支払い続け、今年度(2020年度)、ようやくその支払いが終わります。



今回の予算審査にあたって、予算説明資料を読み込みながら気づいたのが、②が、どうやら今後高くなりそうだぞ、ということでした。





――質疑の内容――

  • =市執行部 ▽=加藤ゆうすけ


を表しています。

――――――――



■文化スポーツ観光部

  • 新年度予算説明資料 p23 芸術劇場整備更新事業(文化振興課)




▽特定天井改修基本計画策定アドバイザリー業務委託について伺う。1,848千円が計上されていて、過年度まではこの名前での項目はみられなかったものだと思うが、どのような内容か。



  • 文化振興課長 特定天井とは、芸術劇場も、文化会館もそうだが、市の施設での体育会館のホールなどの天井を指す。東日本大震災時のホール天井崩落を受けて、危険度があるのではと国交相から通知がでたところに由来する。平成30年度に市全体で特定天井の老朽度調査をおこない、芸術劇場も改修が必要だとなった。他の市の施設も含め、優先順位をつけて改修しているが、市文化会館・芸術劇場等の音響の必要なホールについては、改修の仕方がわからないというところがあり、その後も庁内で協議をして、建築など協議して、どういうやりかたがいいか検討してきた。ようやく、他都市の状況見ながら、進め方が見えてきたところで、今回予算に計上した。まずは天井の改修に向けて基本計画を作らねばならず、それを誰ができるのか、どこにつくってもらえるのかをまず探すため、アドバイザリー業務を受けてくれるところを探していきたいと、今回予算計上した。




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▽まず基本計画を作るうえでのアドバイスを受けないと、そもそも特殊な天井なので計画作りができないということか。

  • 文化振興課長 今年度、基礎調査をしている。その調査結果を受け、来年度も調査をしながら、どういう天井の改修の仕方があるのかというのを庁内で考えていくに当たって、専門的なアドバイスを受ける業者に委託したいと思っている。






▽そうすると、現時点では、天井の改修にどれほどの費用がかかるかはわからないのだとおもうが、いつの時期に改修がやってくるかも含めて、見当もつかないということか。

  • 文化振興課長 令和2年度のアドバイザリー業務で、基本計画を作る際に、どういう改修のやり方ができるのか、そのためには全て調査も必要だと思うが、そのうえで、どういうやりかたでいくらでできるのか、工期はどれくらいかかるのか、作っていきたい。






▽今回の業務委託の結果、見えてきたもので、できた計画が見えたときはじめて、今後の芸術劇場の設備更新計画の金額に反映されるような費用がみえるのか。

  • 文化振興課長 まずはこの計画ができあがり、そこから改修計画に反映していくべきものと考える。






▽p24に参考としてつけていただいた 芸術劇場の設備更新計画 をみると、令和2(2020)年度の合計の部分について、過去の年度の予算書を見比べていくと動きがある。特に、本年度(令和元年度)の当初予算時点の資料では、令和2年度の合計額が522,768千円になることがみこまれていたが、今回の令和2年度予算説明資料では、112,228千円と、かなり大きく減額されている。これは、後年度に設備更新費用がより大きく見込まれることになるのか。

  • 文化振興課長 更新計画はだいぶ先までつくっているが、毎年度予算要求の際に、昔よりも修繕項目によって緊急性が高くなって前倒ししたり、前年度の計画よりもかわることがある。


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▽後年度の部分が、毎年のように6億と記されている。かなり数字が大きい。さらに、今年度の部分の金額が、去年の時点で5億2千万円余だったものが、1億1千万円になると、今ここに記されていない令和7年度以降の心配をしてしまう(=先送りなのではないかと考えてしまう)が、どうか。

  • 文化振興課長 確かに、ここで見ているだけでも数字が大きい。また、劇場ができて25年が過ぎるので、大規模改修もいずれ必要になる。特定天井のこともあり、やらねばならないものはやらねばならないが、優先順位や、一度に同じ個所をやるなど、今後見定めねばならない。






▽ようやく芸術劇場建設時の市債が返済し終わると思ったら、今度は毎年の設備更新にこれだけかかるようになるというのは、かなり不安がある。市が長期にわたって管理する文化施設として、どういった機能が求められるのかという観点から考えても、大きすぎる音楽ホールというのはかなり大変だとこの点からもわかる。そのあたり踏まえ、部長にご所見いただければ。

  • 文化スポーツ観光部長 (設備更新が)後ろ倒しになっているのではないかというご提示について。少し補足すると、いろいろな器具に耐用年数がある。耐用年数通りに工事をするとこうなる、というのが更新計画。ところが、耐用年数は来ているがまだ十分使えるものがあるので、そのときは後ろ倒しになる。いずれにしても長く施設をもたせるためには、適切な維持費がかけながらやるのが大事で、財政的な理由で後ろ倒しとならないように財政とは話をしながら計画的に進めたい。また、芸術劇場の市債がおわり、またこれがかかるのはどうしてもやむを得ない。ただ、もともと芸術劇場の市債返済額が年間約11億円だった。例えば令和6年度、6億円市債を借りて15年で返済すれば、年額約4,500万円の返済となるので、芸術劇場の規模でいえば適切な公債費の範囲と考えられる。いずれにしても、設備更新が遅れ、施設全体の老朽度が高まらないように維持管理したい。






――――


■芸術劇場は、建設も莫大なコストがかかったが、維持管理にも莫大なコストがかかるうえに、いつどのようなコストがかかるかまだ見通せていない




上記の質疑の通り、その時点時点で、芸術劇場の設備更新計画は見直されているので、現時点で



令和4年度:627,287千円 (6億!)

令和5年度:634,477千円 (6億!!)

令和6年度:624,495千円 (6億!!!)



の支出6億円連チャンな見込みですが、これは天井の改修の見込み次第で、また変わってくるのだとわかりました。いつどのようなコストがかかるかまだ見通せていないが、それは億単位のお金だ、というところはゆるぎないはずで、芸術劇場のありかたは、そろそろ真剣に見直さねばならないかもしれないと感じる質疑でした。





なお、この質疑の後、総務常任委員会委員長でもあった小林伸行議員が、芸術劇場にかかった30年分のコスト分析をされていたので、併せて紹介します。私の気づきをきっかけに、ご尽力くださいました。

http://kobayashinobuyuki.seesaa.net/article/474003194.html





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