2025年02月20日

【マンションが何棟あるのか正確には誰も知らない】(2025年2月15日 都市整備常任委員会)

「市内にマンションがいくつあるのか、正確には誰も知らない」

と聞くと、ちょっと驚きませんか?

これ自体は現在の市政が悪いのではなく、これまでの法令の不備、統計の不備によるものです。
そのため、市は2024年に「横須賀市マンション管理適正化推進計画」を策定しました。
https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/4821/tokei/toti/documents/mansion_keikaku.pdf

策定にあたって、
・「非木造かつ、1棟の居室数が6戸以上」に狙いを定めてリストをつくり
・管理組合に郵送連絡し、不達の場合は訪問し
調査をかけました。その結果、

・調査対象のマンション管理組合は458団体あった
・そのうち259団体(56.6%)が回答をくだっさった
・その259団体が管理するマンション数は468棟だった
その468棟のうち、206棟(44%)は、築40年を超えていた

というところまで、状況がわかっています。
都市計画の不備は、こうやって数十年かけて、住民を苦しめることになるわけです。
(林立する都心沿岸部のタワマンを眺めると、他自治体ながら心配になります)

そのような状況なので、とにかく耐震診断をしないと危ない!ということで、毎年「マンション耐震診断助成事業」を予算化しているのですが、今年も現時点で実績がゼロ
そのため、この日の委員会(予算決算常任委員会都市整備分科会)でその分の予算を減額修正する補正予算議案を審査しました。


この耐震診断事業、なんと5年連続、実績ゼロなのです。
質疑でも述べましたが、必要がゆえに予算化するのは大事ですが、そろそろ方向性を変えて、まずは「本当に急いで何とかしなければならないマンションはいくつあるのか」を正確につかむためのほうに予算をつけてもらったほうがいいのでは?と感じます。

ーーー質疑の書き起こしーーー
▽加藤ゆうすけ
4ページのマンション耐震診断助成事業のところだけ伺いたいんですけれど、こちら、執行実績が振るわないというのは何年も議会で問われているので、何でですかという問いではないんですけれど、やはり「所有者の高齢化」と「築年数の経過」という「2つの老い」の課題というのはこれまでも指摘をされていて、今年度は何かいい変化はあったんでしょうか?
 
●建築指導課長
はい。今年度、マンション管理適正化計画の調査結果をもとに、繰り返しになりますが、管理組合さんの方の直接やり取りができまして、話ができ始めたという状況になっております。
 
▽加藤ゆうすけ
(先の答弁で)「旧耐震マンションが令和5年度推計で200棟」と伺ったと記憶してるんですけど、こちらはどういった推計なのかを教えていただいてもよろしいですか。
 
<しばし回答に時間がかかる>
 
●建築指導課長
アンケートの回答結果からの推計になるんですが、アンケートの対象としては、市内6戸以上の共同住宅458団体というところを対象としてアンケートをして、その中の状況を、割合等々を試算しまして200という数字を割り出しています。
 
▽加藤ゆうすけ
今そこまで伺えば、おそらく、「横須賀市マンション管理適正化推進計画」に記載のある、「マンション管理組合等458団体のうち56.6パーセントから回答があって、その(回答のあった259)団体が管理する468棟のうち築40年を超えるマンションが206棟っていうのが計画にあると思うんですけど、(今課長がおっしゃった200棟という数字は)これを指していますか?
 
●建築指導課長
206棟という今数字をいただいたかと思うのですが、206棟は新耐震基準という理解になってまして、旧耐震基準はそこのラインではなくてですね、回答いただいた259団体の方の468棟を基にですね、468棟を、新耐震基準が268棟、旧耐震基準が200棟という分けで算定をしています。
 
▽加藤ゆうすけ
旧耐震マンションが200棟というのは、じゃあ計画には特にその数字は書いてなかったもの、初めておっしゃっていただいたという理解であってますかね。おそらく計画見ていただいた方が早いと思うんですけど、計画の方では、6ページに、259団体が管理する468棟のうち、築40年を超えるマンションは206棟とあったんで、これがある程度、今課長がおっしゃられてた200棟と数字が近いんで、そのことなのかなと思ってたんですが、そうではなくということだったんでしょうか?
 
●建築指導課長
委員おっしゃる通りという認識でよろしいかと思います。


▽加藤ゆうすけ
その上でなんですけど、マンションの数そのものがやはり推計であって、その推計も戸数までしか出せなくて、実際の建物棟数というのは市で完全に把握できてるわけではないっていう理解であってますか?
 
●建築指導課長
委員おっしゃるとおりです。


▽加藤ゆうすけ
だとすると、今回、アンケートの回答率が56.6パーセントで、その管理組合さんというのはある程度良好に運営がなされていると思いますので、ある意味あまり心配がないとは言えないまでも、連絡が取れるという時点では前進をしていらっしゃるのかなと思います。
むしろ残りの43.4パーセントがどのような状況なのか気になりますし、かつ、それ以外もあるのかもしれない。となると、この推進計画、2029年度までなんですけど、いつまでに残りの43.4パーセントの状況を把握して、そのさらに外側にありそうな部分っていうのはどうやって把握をしていくのでしょうか?
 
●まちなみ景観課長
はい。ご指摘のマンションの調査ですけれども、特段委託に出して調査をかけるつもりはないので、まちなみ景観課の職員がアンケート回答いただいたところには、アンケート回答いただいたところとの直接対話いただいてないところに関しては、地道ではございますが、職員がマンションを訪れてですね、状況を確認しながら把握していくしかない。
 
▽加藤ゆうすけ
実質的に足で(訪問して調査する)というところが1番大事なところだと思うので、そのようにやっていただければと思うんですが、この管理組合の運営が不適切な場合、マンション管理適正化法に基づいて行政指導や勧告等に至ると思うんですけど、そのレベルに至っているマンションというのは市内にはないですか?
 
●まちなみ景観課長
はい。まだ市内にはないというふうに判断しております。
 
▽加藤ゆうすけ
やはり計画の中でも、もう築40年超えているというのは、当然あと10年経てば築50年超えるだけですので、かなり危機感は示されてると思うんですが、ぜひですね、2029年度までという計画はありながらも、なるべく早めに実態の把握というところに、むしろ、これだけ何度も何度も、耐震診断してくださいと言っても、なかなか予算の執行ができないのであれば、まず実態を把握するというとこにかなり注力することも考えた方がいいタイミングなのかなと思うので、最後、ご所見だけいただければと思います。
 
●都市部長
はい。御指摘ありがとうございます。実態把握、おっしゃるとおり、本当に大事なことだと思っております。
また、マンションの耐震診断は5年間実績ずっとゼロで続いている状況、ちょっと異常な状況だというふうに私ども感じておりますし、また、隣町の自治体では実際に耐震診断の数が上がっているというのも噂で聞こえてきておりますので、実際そういった事例をですね、細かく調査研究もですね、今後してみたいというふうに思っております。

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