2024年09月02日
【子ども・若者の居場所の確保】(2024年8月29日 一般質問その1)
一般質問の報告その1です。
子ども若者の居場所を確保することについて、上地市長に問いました。
結果の感想から申し上げると
「やっぱりこの点については上地市長とかみ合わないなぁ」なのですが、
●1 小学校高学年が思いっきり体を動かせる放課後の在り方は検討する必要がある
●2 放課後子ども教室が放課後児童クラブ(学童クラブ)のニーズの受け皿となっている実態をちゃんと調査する
●3 中高生の居場所ニーズ、思いを聞く機会がないから何らかの形で調べてみたい
という3点は、今回の答弁で少し前進したポイントでした。
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■青少年の家を廃止したことがきっかけの質問
今回の「子ども若者の居場所の確保」の質問のきっかけは、青少年の家を6か所、2024年3月末に廃止したことにあります。
ただ、誤解のないように申し添えると、私たちとしては、老朽化した施設の危険性を加味した早急な対応という観点や、市全体の公共施設の在り方の見直し(ファシリティマネジメント)の観点から、青少年の家の廃止自体は支持してきました。
一方、「代わりになる居場所は絶対に確保してください!」をセットで言い続けてきたにもかかわらず、子ども若者の居場所の総量が減っているのではないか?と感じる場面がいくつかあり、これを一般質問で問いました。
■1 放課後子ども教室が小学校高学年の居場所になっていない
まずは、小学生の居場所です。居場所のニーズは大きく分ければ放課後とそれ以外がありますが、放課後の居場所については、「放課後子ども教室」が市内小学校の約半数に既に整備され、来年度末までに全校に設置される予定です。
「放課後子ども教室」というのは、なじみのない方には極めてややこしいのですが、よく「学童クラブ」とか「学童保育」と呼ばれる「放課後児童クラブ」とは別のものです。
「放課後児童クラブ」は、保護者が働いているなどで放課後家に帰っても誰もいない子ども(留守家庭児童)のための「保育」です。一方、「放課後子ども教室」は、自由に過ごせる居場所なので、その学校に通っていれば誰でも利用できます。
留守家庭児童が増えているということは、そうではない子どもの放課後にも大きな影響をもたらしています。公園に行けば誰かしら遊び相手がいる、放課後誰かの家にいけば特に保護者の了解なくても遊べる、そういった環境は既にほとんどありません。だからこそ、小学生の居場所は行政が積極的に作っていくべきだと私は考えていて、少なくとも放課後についてはその方向で進んでいます。
ただ、「放課後子ども教室」、小学校高学年が、全然つかっていないんです。
ある1か月の統計をとったところ、利用者うち、小学1年生から3年生までで全体の86.3%を占めます 。小学5年生は2.9%、小学6年生は2.1%に過ぎません。
原因は様々ですが、私からは以下の提案をしました:
(1)開設時間を現在の冬16時・夏16時半 よりも延長しては?
(2)高学年がのびのび遊べるような工夫をしては?
質疑の結果、お迎えがなくとも一人で帰宅できる時間ということも考えて開設時間の延長はすぐには難しいとの答弁でしたが、高学年がのびのび遊べるような工夫については、上地市長から指示を受けて答弁した民生局長から、
「おっしゃる通りだという風に思います。やはりコミュニティセンターの体育室なんかでもですね、子供たちは、 小学校高学年から中学生ぐらいの子はやっぱり体動かしたい、走り回りたいっていうことがあって、それが逆に低学年の子どもたちへの安全性という面から、一緒にいることの課題というのは私たちも目の当たりにしているところがありますので、できれば行政が準備しなければならないとすれば、そういうところでですね、何か高学年の子たちが体を動かせる場所を今の施設の中で有効に活用していけるような方策があればですね、それも検討していく必要があるという風に考えます。」
と、理解ある答弁がありました。
今後順次各校に整備されていく放課後子ども教室も含めて、全ての場所で、グラウンドや体育館も使って、小学校高学年も思いっきり気持ちよく過ごせる放課後の居場所が出来上がることを願っています。
■2 放課後子ども教室を、放課後児童クラブの代わりに、しかたなく使っている事例がある
これはどういうことかというと、具体的には
「学校が終わる時間よりも長く学校にいられるならば、仕事の終業時間を少し早上がりして帰ってくれば、放課後児童クラブではなく放課後子ども教室でもうちは何とか対応できるから、うちの子には放課後子ども教室に開設時間終了ぎりぎりまでいてもらおう」
という事例です。
もちろん「保護者の就労時間中の預かりを目的とした事業ではありません」と放課後子ども教室のご案内に明記しているのですが、
・放課後児童クラブで待機児童が出ておりやむを得ず一人留守番させて就労する保護者がいること
・待機児童になってしまったため就労をあきらめる保護者がいること
を踏まえると、やむをえない選択でもあります。
これについては、市はその実態の全容をまだつかんでいない状態なので、ちゃんと調査してくださいと質問し、調査の実施を約束する答弁がありました。
■3 中学生・高校生の居場所確保は平行線
「中学生・高校生の居場所の確保」は私が議員になって以来何度も問うていることですが、今回の質問の前日に象徴的な出来事があり、質疑でも取り上げました。
質問前夜、大津コミュニティセンターを訪れたところ、3階の一番奥、電灯がついてないところにある机と椅子で一生懸命高校生が勉強していたのです。「よく来るんですか?」と尋ねたところ「やっとここを見つけて、本当に貴重な場所です」とのお答え。さらに「こういう、なんとなく勉強できる場所とか、居場所って必要?」と尋ねると「とても必要なので、ぜひ作るためにがんばってください」とお願いされました。
このことからわかる通り、決して、新しい立派な建物を作ってほしいという話ではなく、この公共施設のこのフロアは中学生・高校生限定の勉強・雑談場所、といった形で決めて、そこに机・椅子・電源・wifiさえあればいいのです。
このことを改めて問うたところ、やはりいつも通り「利用者の世代を限定せず、多様な世代が使える場を設けていく」と、中学生・高校生限定の居場所に関しては議論が平行線でした。
ただ、今回は、中高生の声を聴いてほしいと改めて一問一答で問うたところ、上地市長から、
「私、思いを聞く、その意味に関しては確認をする機会はないんで、 今おっしゃったところ、ちょっと聞いてみたいと思いますので、ちょっと何らかの形で調べてみたいという風に思います。」
と、前向きな答弁があったことは、少し前進かなと感じています。
大津コミュセン1階。こことかも椅子と机おけそう。
同じく大津コミュセン2階。普段つかっていないときは、椅子おいてもらえればもう勉強できますよね。
ーーーー一般質問書き起こしーーーーー
■1問目
1 子ども若者の居場所について
(1) 子ども若者の居場所をより一層確保することについて
ア ファシリティマネジメントの推進と子ども若者の居場所の確保を両立することについて
●上地市長
まず、ファシリティマネジメントについてです。議員ご指摘の通り、人口減少が進展し、施設の老朽化が進む中、 ファシリティマネジメントの観点から、公共施設の再編を進めていくことは一層重要性を増しているところと私も感じているところです。こうした認識のもと、これまで行ってきた施設の再編は、単に施設数を減らすことだけを目的とするのではなく、実際の利用者層、利用方法、利用者数などを踏まえ、代替機能についても整備を進めてきたところです。再編にあたっては、様々な交流が広がることを意識し、期待し、利用者の世代を限定せず、多様な世代を使える場を設けてきました。先行事例では、高齢者と子どもが交流する場面も多く見られていると聞いています。こうした手法を用いることで、ファシリティマネジメントを推進していくことと、子どもの居場所を確保することの両立を図ってまいりたいと思います。
イ 放課後子ども教室が小学校高学年の居場所になっていないことについて
ウ 放課後子ども教室を小学校低学年と高学年で分けて考えていくことについて
(ア) 放課後子ども教室の開設時間を再考することについて
●次に、放課後子ども教室について、2問合わせて回答いたします。
議員ご指摘の通り、小学校高学年の利用割合が少ないことは数字として出ているので承知しています。また、その要因の1つが、高学年の授業終了時刻が遅く、利用できる時間が短いことであることも認識しています。しかし、現在の開設時間は保護者の迎えなしで児童が安全に帰宅することを考慮しているもので、現時点では高学年だけを区別して開設時間を延長することは考えていません。
一方で、放課後子ども教室を現在の直営方式に変更してから1年が経過し、実施校数、利用者も増えてきたことから、 利用実態や利用ニーズなどを把握するために登録者向けにアンケートを実施し、今後、児童にとって少しでも利用しやすい居場所とできるよう検討してまいります。
(イ) 放課後子ども教室を利用する児童の保護者の、放課後児童クラブ利用ニーズを調査し、把握することについて
●次に、ニーズ調査についてです。放課後子ども教室については、留守家庭児童対策だけではなく、全児童対策として実施しており、放課後児童クラブへのニーズについては、放課後児童健全育成事業において対応を検討していきたいと考えています。
一方で、 放課後子ども教室が一部放課後児童クラブのニーズの受け皿となっている実態も承知していますので、先ほど答弁しました、今後実施予定の放課後子ども教室の登録者向けのアンケートの中で、実態把握として調査をしていきたいと思います。
エ 中学生・高校生の居場所の確保について
●次に、中学校、高校生の居場所についてです。先ほども答弁しましたが、ファシリティマネジメントの観点から、公共施設の再編を進めていく中では、利用者の世代を限定せず、多様な世代が使える場を設けていきますので、その場所が子ども、若者にとっても居場所と感じてもらえるように考えていきたいと思います。
■2問目
▽加藤
まず、子供、若者の居場所について。いつも我々の会派からはこども若者の居場所を、と求めているわけなんですが、まず、昔と比べてこども若者の居場所をめぐる状況、どのように変わってきたと上地市長は感じられますか?
●上地市長
変わってきたといえば、考え方も変わって、社会も変わったので、我々の時代はそういう場所がいっぱいあって、遊ぶというのは、表に出ていて、 様々な人と交流をし、それは異年齢、特に先輩後輩たちのつながりがあって、この地域を一緒になって良くしていこうという思いが強くあった。という意識構造が常にあって、それは我々昭和の世代っていうのが、みんなで、みんなでなんとかしていこうと、向かっていこうという考え方があったという風に思います。
ただ、今の、 様々な個人主義が発達をして様々な考え方があるというという意味では、 そういう場所があるのでは、私が思うような場所は今はなくなってきたんだけども、そういうことを欲してないような、いろんなお話を聞いていると、多分その価値観、感覚が違うのではないかという風にいつも思ってるんですね。
そうすると、じゃあ行政がどこまで関わっていくかっていつも考えて、皆さんの、よこすか未来会議の皆さんの言うことはよく分かっているつもりなんだけど、 この狭い横須賀市の中で何ができるか。今いろんなとこ行って私たちに様々な意見いただいてるのはよく分かってるんですが、地域性とか歴史性とか、その風土が持っているもの、地域、これは日本全国違うと思うんですね。私が思ってるようなことは、多分東北のある地域に行けばこれは当たり前の話であり、 近代の中では、例えばいわゆるその都市型の地域に関しては持ってない人たちもいらっしゃるっていう、様々な価値観が多様化している中で、行政がどこまで何を踏み込むかって非常に難しい問題があると思ってるんです。で、私は、おっしゃる通り、これはいつも考えるんだけど、小学校、中学校、高校生、区分けした居場所が必要だっていう風におっしゃるけれど、 この横須賀市では、できる限り同じような場所と同じような地域で、同じように様々な年齢の方たち、あるいは先輩、後輩、それから高齢の方と一緒になって、同じこの空間あるいは時間を共有する場、場所が必要なんではないかという、強い思いをもってます。それが地域コミュニティをもう1度再生させていくには必要だという風に感じてるから。で、いつもおっしゃる意味よくわかってるつもりなんだけど、どういう場面で逆に、ああ聞いちゃいけないんだ、です。以上です。
▽加藤ゆうすけ
いつも伺っていることではありますので、上地市長がおっしゃることもとてもわかります。やはり様々、異年齢の関わりがあって、その中でみんなでなんとかして向かっていこうということですとか、なんでもかんでも大人の管理下にあるところで子供が遊ぶ、それでいいのかっていうことですとか、 そういう部分は私も上地市長と一致する部分があるかなとは思ってます。
ただですね、先ほども熱中症の話が出てましたが、あまりに夏がひどい暑さで外で遊んで来いともいえず、 共働きが進んで家に誰もいないことも多く、友達の家に自由に遊びに行き来するていうのも正直今減っている中で、小学生が自由に過ごせる場というのは、まずここでは小学生の話するんですけど、まず行政が積極的に考えていかないと、もはやなかなかできなくなってきてるんじゃないかなっていうのを。もちろん市長おっしゃるように東京と横須賀は違うんだという部分はあるとは思いますが、横須賀ですらそういう変化が生じてるなというのを感じています。なので、先ほどの、小学校高学年の居場所を少しでもというところになるんですけれども、開所時間の延長も含めて様々な対策を検討する必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
●民生局長。
はい。議員1問目のご質問、 私たちの考えも十分認識していただいているということは承知していて、それでもなお、やはりそういうご質問ということに対しては、なかなかお答えが難しいんですけれど、やはり、例えば放課後子ども教室の時間延長については、現時点ではすぐに延長するということはやはりなかなか難しい点はあろうかと思っているところです。
ただ、議員もおっしゃる通り、それがどんどん、その、増加している学童クラブへのニーズがですね、少しでも例えば吸収できて、それが市全体の財政に与える影響が、財政のためにやってるわけではないですけれど、放課後児童クラブへのニーズが少しでも吸収できるということは、メリットもあると思います。で、そこらへんについては、おっしゃる通り、教育委員会やいろんなところとの調整が必要ですので、現時点では難しいですけれども、色々な方の意見を聞きながらそういったことも検討していく必要はあるだろうという風には考えているところです。
▽加藤ゆうすけ
国の方針が様々変わる中で、執行部局の皆さんも本当に苦労されて、この放課後の児童の在り方については検討いただいてることはとても感じています。なので、今の時点ですぐには難しいというのも理解をしています。
先ほど1問目でも申し上げたんですが、小学校高学年の遊びの内容や求める環境が低学年と大きくちがうっていうところも、開所時間と同様に考慮した方がいい内容があると思っていまして。小学校高学年の場合、やっぱり同じ場所に低学年いれば、ちゃんとこう、遊びの強度というか、レベルを制御してですね、ちゃんと低学年に配慮した遊びができると思うんですね。ただ、その遊びたい小学校高学年の子の思いを発散させる場所がなくなってしまってるんじゃないかなという風に感じてます。
そうすると、開所時間の話だけではなくて、方法はあるかなと思ってまして、今、グラウンドとか体育館、利用できる放課後こども教室とそうじゃないところと混在してますけれど、これを全てのところができる限り利用できるように学校と調整したりですとか、その場合は低学年と高学年、月・水・金は高学年が自由に体育館使っていいよとか、そういった形で分けてのびのび過ごせれば、小学校高学年の利用も伸びるんじゃないかなと思うんですね。
こういった放課後子ども教室を小学校高学年の居場所にしていくためにも、ぜひ具体的に様々方法、検討していただけないでしょうか。
●民生局長
今の点についてはおっしゃる通りだという風に思います。やはりコミュニティセンターの体育室なんかでもですね、子供たちは、 小学校高学年から中学生ぐらいの子はやっぱり体動かしたい、走り回りたいっていうことがあって、それが逆に低学年の子どもたちへの安全性という面から、一緒にいることの課題というのは私たちも目の当たりにしているところがありますので、できれば行政が準備しなければならないとすれば、そういうところでですね、何か高学年の子たちが体を動かせる場所を今の施設の中で有効に活用していけるような方策があればですね、それも検討していく必要があるという風に考えます。
▽加藤ゆうすけ
ぜひご検討よろしくお願いします。
居場所のところでは、やはり今回も世代を問わずというご答弁いただきましたが、少し今回私たちなりに角度を変えたと言いますか、少しFMの観点からもできることがあるんじゃないかなという提案も含めて質問をさせていただいたつもりでして、すごい具体的なこと言えば、例えば大津コミュニティセンターに入って、1階すぐ右のところに、多目的スペースですかね、ちょっと一角があるんですけど、そこにこう、椅子と机と電源とwi-fiと空調があれば、いられるなという感じのスペースがあるんですね。そういった、ちょっとしたスペースっていうのは結構見つかるだろうなという印象がありまして。で、ちょうど昨日もこの質問をするにあたって大津コミュニティセンターに私ふらっと夕方行ってきたんですが、3階の一番奥の、電気があんまりついてないところに机と椅子があるんですけど、そこで一生懸命高校生が勉強していて、よく来るんですかって尋ねたら、「やっとここを見つけたぐらいなんで、本当に貴重な場所で」ってまさに言っていて、やっぱこういうなんとなく勉強できる場所とかいられる場所って必要?と聞いたら、「もうとても必要です」という風におっしゃってました。その高校生。
いろんな中学生、高校生いると思うので、意見を聞き出すには時間もかかるし、方法も工夫する必要があるんで、大変難しいなと思うんですが、市長ご自身もですね、昨年9月に私がこども若者の意見表明機会確保の質問した直後に、高校生と平和に関するイベントやられた際に、高校生と直接対話したよとおっしゃっていただいていたのが代表質問の時のことでした。なので、市長ご自身、 高校生、中学生から声を聞こうということはしてくださってるとは思うんですが、例えば、この今回の中高生の居場所に関して、中高生の声に直接耳を傾けるですとかアンケートを取るですとか、居場所ということに関して、思いを確認する機会っていうのは何かあるんでしょうか?
●上地市長
私、思いを聞く、その意味に関しては確認をする機会はないんで、 今おっしゃったところ、ちょっと聞いてみたいと思いますので、ちょっと何らかの形で調べてみたいという風に思います。
▽加藤ゆうすけ
ぜひ確認を進めていただきたいなと思います。
居場所の確保というのは、フードコートにたむろするという状態がそれでいいのかみたいなところから、我々会派の高橋議員も質問をしたりですとか、 これまで長らく問わせていただきましたが、もちろんフードコートが悪いということではなくて、飲食、娯楽目的でそこに集まるということもあるでしょうけど、ちょっと勉強する場所とかを探してっていう中学生、高校生も確実にいるはずなんですね。そういった部分もしっかり捉えていただければなと思います。答弁は結構です。