2024年11月28日
【忙しすぎる文化スポーツ観光部】(2024年12月定例議会 一般質問)
2024年12月定例議会 加藤ゆうすけ一般質問の報告です。
■「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」がもたらしたもの
上地市長は、2017年の当選以来、「横須賀再興プラン」の3つの方向性の一つとして「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」を掲げ、市の魅力創造と発信に取り組んでいます。
その結果、「横須賀はイベントが多い」「イベントで盛り上がっている」と市民から耳にすることが増えたように思います。
一方で、「上地市長がイベント好きだからイベントばっかりやっている」「あれは趣味だ」というようなご批判も、いただきます。
どこまでを「市のイベント」と定義するかによってだいぶ件数が変わってくるので、過去の市政との比較が手持ちのデータでは難しいのですが、かなりの件数があります。
そもそも、「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」による市の魅力創造・発信は、人や投資を呼び込み、地域経済への好循環を創り出し、これまで以上に福祉の充実を図るためのものとして行われてきました。
そこで、「イベントは、どのように、福祉の充実につながったのか?」をまずは問いました。
■忙しすぎる文化スポーツ観光部問題
文化スポーツ観光部は、市長就任半年後の2017年12月定例議会で、「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市を早期に実現するため」新設が報告され、翌2018年4月から始動した部局で、まさに【上地市政の象徴】ともいえる部局です。
「横須賀はイベントが多い」と言われる状況を一番支えてくださっているのは、文化スポーツ観光部の皆さんです。イベントの増加は、そのまま、文化スポーツ観光部の業務量の増加を意味しますので、その業務量の多さがこれまでも心配されていました。
よく、冗談として「文化スポーツ観光部長は、実は3人くらいに分身できるのではないか」などと話題に上るのですが、議員の我々から見ても、それくらい、部長をはじめ、文化スポーツ観光部の皆様の奮闘ぶりは、頼もしく感じるとともに、過度な負担となっていないか懸念しています。
なので、このタイミングで、
・イベントの数・内容を見直してみる
・文化スポーツ観光部の担う業務量を見直し、業務量を可視化し、業務をスリム化する
・市の支援から卒業し、自走可能なイベントを見極めてみる
・文化スポーツ観光部の業務の一部を移管する
ことを、上地市長に問いました。
■今後、折に触れて検証可能な、良い答弁
私の今回の質問は、一発で問題解決を狙うものというよりは、質疑を通じて、やるべきこと・市長の方向性を明らかにして、今後の委員会審査や代表質問で問うていく取っ掛かりをつくっておくことが目的でした。その点は、達成できたと振り返っています。
まず、「イベントは、どのように、福祉の充実につながったのか?」については、
「目に見えて賑わいや活気が生まれ、令和5年観光客数891万人(過去最高)を記録。テレビ番組等多くのメディア出演もあり着実に実を結んでいる。横須賀への注目が高まった結果、大規模イベントの開催や企業、学校への進出など、民間事業者から提案を数多くいただくようになり、福祉の増進など様々な施策の充実につながっている」という総括でした。
次に、「忙しすぎる文化スポーツ観光部問題」については、
・市職員平均残業時間は月11時間だが、文化スポーツ観光部の職員の平均残業時間は月24時間であり、業務量が多く負担となっていることは承知している。
・アーバンスポーツに限らず、すべてのイベントにおいて、自走化の可能性や支援のあり方、さらには継続の必要性をしっかりと見定めていく時期に来ていると感じている。これ以上イベントを増やすことはないと部長に伝えている。あとは、これを充実させて、いかに早く自走させて、民間主体にさせるかということに注力するべきだと、この前部長に話をしたばかりだった。
・業務量の可視化は、個々のイベントの数や経費、 職員の残業時間数だけでは測れない部分も多く、様々な業務内容があることから難しい
・様々なイベント事業などにおいて、日頃から商店街や商業者の皆さんと信頼関係を築いている商業振興課がハブとなることで、協力体制の構築や連携をスムーズに行うことができているので、主要施策を推進していく上で、文化スポーツ観光部に商業振興課が必要だから移管しない
という答弁でした。
「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」が、市長選挙を通じて信任を受けている以上、掲げた公約を忠実に実行するのは市長も議員も同じことですので、それは着実に進めていただかねばなりませんし、正しい方向に進むよう議員としても提案をしていく必要があります。
一方で、そもそも「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」ってちゃんと福祉に結び付いているのか?市役所組織に過度な負担をかけていないか?と、検証する責務も私にはあります。
今回は、検証の取っ掛かりをつくったという感じです。今後に続きます。
ーーー質疑の書き起こしーーー
■1 「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」と業務量について
(1)地域経済への好循環を創り出し、福祉の充実を図るために「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」を掲げ、市の魅力創造と発信に取り組んだことに関する総括について
●上地市長
まず、音楽、スポーツエンターテインメント都市についてです。これまで、横須賀市が目指すまちづくりの方向性の1つとして掲げた 音楽、スポーツエンターテインメント都市を実現するために、数多くの施策とプロモーションを行ってまいりました。この間、様々なことに、 近年、目に見えて賑わいや活気が生まれ、令和5年には過去最高となる891万人の観光客数を記録することができました。
さらに、テレビ番組をはじめ数多くのメディアに取り上げて続け続けているなど、取り組みは着実に実を結んでいると思います。
このような取り組みによって横須賀への注目が高まった結果、大規模イベントの開催や企業、学校への進出など、民間事業者の皆様から大変ありがたいご提案を数多くいただくようになりました。こうした成果は、福祉の増進など様々な施策の充実につながっていると感じているところです。
(2)イベントの数・内容に関する上地市長の振り返りについて
●上地市長
次に、イベントについてです。
市長に就任して以来、音楽、スポーツ、エンターテインメントとし都市を実現できるよう、たくさんの皆様にご協力をいただきながら、数多くのイベントの開催に取り組んでまいりました。
中でも、ジブリ展をはじめとする美術館の様々な企画展は多くの注目を集め、国際大会に成長したBMXジャパンカップや、日本最大規模の音楽コンテストとなったマインドロックアワードなどは新たな横須賀を代表するイベントとして広く認知されているところです。
また、イベントの内容も、音楽、スポーツ、観光といった分野に限らず、 福祉や環境など多岐にわたり、市内外の多くの方に参加し、楽しんでいただけるものとなっています。こうした様々なイベントは、横須賀の賑わいや魅力の発信につながるだけではなく、町の活性化への大きな原動力にもなっていると確信をしているところです。
(3)文化スポーツ観光部の担う業務量について
●上地市長
次に、業務量についてです。市職員の平均残業時間は月11時間ですが、文化スポーツ観光部の職員の平均残業時間は月24時間であり、業務量が多く負担となっていることは承知しています。また、業務内容も、新たなチャレンジやアイデアを必要とするイベントの企画運営から、観光客誘致、商店街も含めた地域の活性化、文化やスポーツの振興、施設の維持管理まで多岐にわたっています。文化スポーツ観光部の職員は、こうした幅広い業務を各セクション間でしっかりと連携協力し、様々な課題やニーズに対応すべく日々業務に取り組んでいます。
また、民間企業との関わりも深く、 ネットワークを広げながら対外的な調整や交渉も行っている、非常に心強く頼もしい存在であると感じています。
(4)市の支援から卒業し、自走可能なイベントを見極めることについて
●上地市長
次に、イベントの見極めについてです。
横須賀市には、他市と比較して立地的に広域的な集客が難しいなど、 イベント開催への様々な課題が存在しています。そのため、賑わいの創出や都市魅力の発信のために支援を行ってきましたが、 民間事業者による自走化は、理想ではあるものの、未だにハードルが高いと感じているところです。
例に挙げられたアーバンスポーツについても、現時点ではまだ自走化が難しいために、補助金の活用、 企業の皆様からの協賛金による協力、開催ノウハウの共有といった民官連携により、市の負担軽減に努めているところです。
これからは、アーバンスポーツに限らず、すべてのイベントにおいて、自走化の可能性や支援のあり方、さらには継続の必要性をしっかりと見定めていく時期に来ていると私も実は感じているところです。引き続き、民官連携のさらなる推進や、自走できる民間事業者主催のイベントの誘致などに注力してまいります。
(5)業務量の可視化と、業務のスリム化について
●上地市長
次に、可視化、スリム化についてです。
音楽・スポーツ・エンターテインメント都市という明確な方向性を打ち出し、その取り組みを1つの部局で行うということで、様々な施策を融合させ、面的に展開することが可能となり、着実に成果に結びついていると感じているところです。
ご提案の業務量の可視化については、業務を検証するという1つの手法だとは思いますが、個々のイベントの数や経費、 職員の残業時間数だけでは測れない部分も多く、様々な業務内容があることから、難しいのではないかと考えています。
確かに、文化スポーツ観光部の職員の負担は、数字にあらわれない部分も含めて明らかに増えており、 職員数の増員や部外の職員の併任も活用し対応しているところです。(文化スポーツ観光)部長(の倉林さん)が3人ではなくて、私は4人いるのではないかと思う時も時々あります。
今後、これまで増加傾向にあった既存のイベントについては、それぞれの特性を見極めながら、 改めて開催方法や職員の関与の仕方を考えてみる必要はあるのではないかと思っていたところです。昨今では、イベントを職員がイチから企画、運営するのではなく、オクトーバーフェストやワインフェスティバルなどといった質が高く集客力のある民間事業者主催のイベントを誘致するなど、業務のスリム化と職員の負担軽減を図っているところです。
(6)文化スポーツ観光部の業務の一部を移管することについて
●上地市長
次に、業務の移管についてです。
文化スポーツ観光部に限らず、組織の編成とその役割や業務の分担については、それぞれの施策の効果が最大限に発揮できるよう実施してまいりました。これからも柔軟かつ慎重に対応していく考えです。
その上で、議員が具体例に挙げられた商業振興課は、平成30年度に文化スポーツ観光部を新設した際に、歴史や文化、自然、そして音楽・スポーツ・エンターテイメントの力によるにぎわいをより効果的に地域の活性化や商業の発展につなげるために文化スポーツ観光部に配置したものです。
これまで、様々なイベント事業などにおいて、日頃から商店街や商業者の皆さんと信頼関係を築いている商業振興課がハブとなることで、協力体制の構築や連携をスムーズに行うことができているのではないかと感じています。
したがって、現時点では、主要施策を推進していく上で、文化スポーツ観光部に商業振興課が必要だと考えています。
ーーー以下、2問目ーーー
▽加藤ゆうすけ
質問順のまま伺いたいと思います。
音楽・スポーツ・エンターテインメント都市と業務量についてということで、 こちら、目に見えて賑わいや活気が生まれて、891万人の観光客数と、非常に賑わいの部分、よくテレビ出るよねと市外の方にも声をかけられるので、そういう意味で非常に効果を感じています。その点はありがとうございます。
で、やはり地方自治体に求められるものがどんどん膨らんでいく一方で、財政、人員体制には限りがあるので、どうやって福祉を充実しようかっていうのを考える中で、この音楽・スポーツ。エンターテインメント都市というのを掲げて、音楽・スポーツ・エンターテインメント都市が市の魅力を作って、発信をして、経済を活性化して福祉につなげるんだよっていうこのロジックは、上地市長一貫して当選前から、何のためのイベントなのかというのが明確である点で、このロジックこそ重要だったんじゃないかなという風に思ってます。で、実際に成果も出て。
ただ、私が気にしているのは、上地市政になってからイベントが増えたという意見を好意的に言う方もいらっしゃれば、 あまり何のためのイベントなのかっていうとこが、伝わってないがために、「市長がイベント好きだからイベントやってる」っていう方には結構出会います。結構それは聞く声です。
だからこそなんですけど、例えば、広報よこすかで「市の魅力づくり・発信が行えて、地域経済の活性化につながって、それが福祉につながってるんですよ」っていうこのロジックを、こういうイベントでこういう文化が生まれました、根付きました、イベントで入ってきた投資、イベントで入ってきた企業との繋がりがこの福祉サービスになりました、っていうのを、今一度総括として整理して市民向けにお伝えしてもいいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか
●上地市長
ありがとうございます。まず、大前提でお話をさせていただくと、私、(音楽・スポーツ・エンターテイメント都市構想は)公約 なんですね。それで当選させていただいたんで、これをやらなければ私の公約ではないので、まずそれはご理解ください。
これは議員の時からずっと言ってることで、 町の活性は、人が幸せで、福祉っていうのは狭義の福祉ではなくて、人が幸せで暮らすこと。最大多数の最大幸福じゃないけれども、様々なことで、賑わいの中で、人が豊かに文化的にも暮らすことを私は福祉という風に思って、狭義の意味でも、それが税制的に、税収の部分でも増えていく、これが福祉であって、横須賀の活性化としてのツールはこれ以外に私はあり得ないと思って実はやってきました。
実は、昔の横須賀って、こういう風に、街に、思いつき、人が出て楽しんでるような、私の若い時そうだった。で、横須賀っていうのはやっぱり、基本的には半島で閉鎖社会、横浜とも違うディープな横須賀というところでみんな喜々として生きてきたということがあるので、これはやはり音楽・スポーツ・エンターテインメントということがまさにツールとしては最高なのではないかという思いでやってきちゃってるわけですが、今おっしゃった通り、それが、具体的に好きだからって、私の、政治家として好き嫌いなんては言ってはいけないし、それから、是非もない。公約だから。
だから、それがうまく伝わらないという意味では私の不徳の致すとこなので、そういう意味では、もう少しよく具体を皆さんに伝えるように、広報も含めて考えていかなければいけないというふうに思いました。逆に、ありがとうございます。
▽加藤ゆうすけ
ぜひよろしくお願いします。そして、イベントが多くて忙しいというところの話は、全てのイベントにおいて自走が可能化を確認しなければならない時期に来ているというようなご答弁も今いただいているので、基本的にはそういう形で検証していただくんだろうなと考えています。
文化スポーツ観光部の話、決して部長だけが忙しいという話ではなくて、非常に単純な話をすると、やっぱ課長レベルでも係長レベルでも係員レベルでも、「上が休まないと下が休みづらい」っていうことだと思うんですよね。なので、改革は上からの改革も下からの改革もあると思うんですけど、働き方改革は やっぱ絶対に上からまず率先してやらないとどうにもいかないですから、その点では、働き方改革は。文化スポーツ観光部、少し呼び掛けてもらえませんか。
●倉林文化スポーツ観光部長
ご指摘の通り、今職員の負担が大きいということは私も十分承知しておりまして、これまでは音楽・スポーツ・エンターテインメントの実現を目指してやってきたわけでございますけれども、 昨今のワークライフバランスなどにも配慮してですね、各種休暇の取得体制、取りやすい環境ですとか、そういった働き方改革の必要性は日頃より市長からも指示をされてるところでございます。そうした環境づくりですとか雰囲気づくりというのは、これから私自身が部の中でやっていかなければいけないと思っております。
合わせまして、先ほど市長も答弁されてましたけれども、そうした中で、業務に、業務量そのものにつきましては、 見直しの中でですね、イベントそのものの必要性ももちろんですけれども、民官連携をさらに推進することによる負担の軽減ですとか、あとは、業務そのものに対しての職員の関与の在り方、支援のあり方というのをこれから1個1個考えていきたいなと思っております。
●上地市長
ご質問の前に、倉林部長を呼んでて、これ以上増やすことはないと(伝えています)。あとは、これを充実させて、いかに早く自走させて、民間主体にさせるかっていうことに注力するべきだということを、この前お話をしたばっかなんですよ。まさにその通りで。これは(イベントの数は)多分、限界点に達している。
業務量云々というよりも、ある意味ではその、キャパ(市内でのイベントのキャパシティ=許容量)がこれは限界だと私も感じていますので、それはもう話をしたばかりだったので、逆にありがたく思っています。ぜひご支援を一緒にいただければという風に思いますので、よろしくお願いします。
▽加藤ゆうすけ
思いも方向性も一緒で、かつ具体的にすでにお話されてるということで、非常に心強く思っております。
で、その上で、これは蛇足かもしれないんですが、 部局が頑張ってイベントを盛り上げて、企業の冠を持ってきたりして、税金の支出に頼らないイベント運営が出来上がりつつあるから、はい卒業とだけすると、多分、こう、頑張ってきた職員、 じゃあもうそのイベントは市から手離れして自立できますねって財政当局から言われると、多分しょんぼりすると思うんですよね。自分で頑張って育てたイベントが、自分の手元からなくなっていくっていうのは、こう、何年か経った後に、「あれ実は自分が手掛けたイベントなんだよ」っていう誇りがあったりとか、「あれ、部長があの時 係員時代にやったイベントなんですよね」とか言われたりとか、多分そういうのが職員の働くモチベーションになるんじゃないかなと思うので、そこはすごい注意はしてほしいなと思っていて。
そこは、だからこそ、卒業・自走まで持っていったっていうその最後の部分は、人事評価上ものすごく評価してあげてほしいポイントだなと思っているので、最終的には職員を評価できるのは市長しかいないので、その辺、評価をしていただけないでしょうか。
●上地市長
すごく嬉しい、ありがとうございます。生きてくっていうことはそういうことだという風に思っていて、何かを作り上げて次にバトンタッチしていくことの連続であるという。これは職員だけではなくて、どの職業も同じようなことだというふうに思ってるんですね。ただ、あの、クリエイティブな作業を文化スポーツ観光部がやっていただくれてるので、それは評価に値するもの。他との兼ね合い、他の部局でもコツコツ、コツコツと影にやってる人たちもいて、それも評価しなきゃいけないっていう中で、今、人事評価制度っていうのを作り変えて、できる限り公平に、公正にだな、様々なことで活躍している人に対しての、差をつけ、少しでもつけるべきだというところを今考えておりますので、その中の1つであろうという風には感じています。ご指摘をいただいて感謝いたします。