2022年09月01日

【小中学校の水泳授業について】(2022年8月29日 一般質問その③)

2022年9月定例議会 一般質問の報告その3です。(最終回)





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2 小中学校の水泳授業について





(1) 様々な論点から水泳授業を再考することについて





(2) 水泳授業を外部の専門家に段階的に委ねることについて





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■公共施設の量的削減、学校施設の管理、学習指導、教員の働き方改革…水泳授業をめぐる様々な論点





 学校の水泳授業を巡っては、様々な論点から、議会でも議論がなされてきました。





①公共施設の量的削減





→年間わずかしか使用しない施設を、多額の経費で維持管理し続けることの難しさはずっと問われています。





②学校施設の管理





→6月定例議会では、学校プールの水を溢れさせて市に損害を与えた事故がありましたが、他にも水質管理の方法が難しいなどの点があります。





③学習指導





→当たり前ですが、児童生徒の学びがいちばん大切ですので、これが一番の論点です。国民皆泳の精神、という表現がされることもありますが、日本は世界的にも珍しいほどに「結構みんな泳げる」国です(大学の頃中国留学した際に、泳げない人が多くて結構驚きました)。横須賀市は、海に囲まれていますので、当然海に親しむ機会も多く、スイスイ泳げるようにはならないまでも、水上で助けを待つ体制を習得することの重要性は高いと思います。





 現在、指導は学校の先生が行っています(一部ボランティアあり)が、命の危険に直結しやすい水の事故を防ぐためものすごく神経を使いますし、一般質問の報告その2で紹介したように、特別支援教育の必要な児童生徒が増える中、特別支援学級以外でも、より手厚い支援が必要な児童生徒が在籍していることもあり、そうなると水泳授業は一層気を付けてやらねばなりません。





 そして、加藤ゆうすけ何度ももうしあげていますが「天候読めない」問題は大きいです。雨が強ければできませんし、授業日数上、6月のまだ寒い中、唇を真っ青にして屋外プールに入った嫌な記憶があるかたも多いと思います。









④先生の働き方改革





→1クラスに対して、陸上に1人、水中に3人、水泳授業の安全監視の先生を置くとすれば、もうそれだけで大変そうだなというのは想像できるわけです(学校によって体制は違うと思います)。先生の数が足らない中で、学校内の学年役職関係なく協力しても足らないことが初めから想定されるので、地域のかたにボランティアをお願いしている状況もあります。「市営プール無料にするから勝手に泳いでらっしゃい!」ときっと先生も言いたくなるほど大変ですが、やはり自分の命を守るためにも児童生徒に水泳を覚えてほしい思いはあると思いますので、先生の働き方改革も進められる水泳授業のありかたを考えたいところです。









■「例えば温水プールであれば夏でなくとも利用の形態は取れていけるではないかと、いま担当と検討しているところです」との前向き答弁





 今回は、コロナ禍で水泳授業の2年連続中止を経て、この水泳授業のありかた問題の解決は前に進んでいるのだろうか?と問い直す意味で取り上げました。





 そして、シンプルに、「水泳授業を外部の専門家に段階的に委ねてはいかがか?」と問いました。





 これに対して、「市内民間施設の活用も検討を進めているところです。今後、外部人材の活用や、民間との連携について、さらにその可能性について引き続き検討してまいります。」との答弁でした。









 また、続く一問一答形式にて、指導・安全監視の部分に関しても、民間施設・企業の協力を得られるよう、進められないでしょうか?と問うたところ、





「たとえば施設を半日、全面借りて、体制が取れれば、学校ごとに、例えば温水プールであれば夏でなくとも利用の形態は取れていけるではないかと、いま担当と検討しているところです。」との答弁が得られました。これまでですと、夏以外の利用の可能性についてはあまり前向きな答弁はなかったので、前向きな兆しと受け止めました。





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水泳授業のありかたは、他市町村では実際に学校プールを全廃したり、指導を外部委託する事例も見られる通り、全国的に見直しが求められています。一足飛びに進まない課題ではありますが、そのあいだにも学校プールは老朽化し、先生の数は減り、課題は深刻化していますので、横須賀市に最も適した方法を一層求めていきたいと思います。





※例えば、以下リンク「小中学校からプールが消える!? スポーツクラブでプロが指導…水泳授業の外部委託が増える3つの理由」イット!2021年7月12日 月曜 午後8:05





https://www.fnn.jp/articles/-/209205





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(質問全文)





■2 小中学校の水泳授業について





●(1) 様々な論点から水泳授業を再考することについて





 続いて、小中学校の水泳授業について伺います。学校の水泳授業を巡っては、様々な論点があります。





まず、ファシリティマネジメントの観点からは、小中学校の再編に先行してでも、学校プールの削減は必要かと思います。年間でわずかな時間しか使用しない学校プールについて、これまでも見直しを求める議論がなされています。  





また、学校プールの施設管理の困難性があります。6月定例議会では、本会議でも委員会審査でもプールの溢水事故についてプールの管理の視点から議論がなされ、毎日のプール日誌などによるヒューマンエラーの起きやすい方法ではない、スマートメーターなどによるミスを防ぐ管理が求められていました。





そして、やはり、水泳授業が、教員にとって、児童生徒の命に関わる事故の無いようものすごく神経をつかう仕事であり、教員不足の中ではかなり負担の大きな仕事である点です。本年、コロナ禍での2年連続中止を経て、水泳授業が再開されました。学校プールのある学校では、水質の検査、各学年ごとの水深、検温、当日の天候による開催可否判断など様々な確認事項に追われたことと思います。市営プールなどに移動して授業を受ける学校であっても、先に述べたように、特別支援学級の数が増える中、通常級在籍児童であっても、特に支援の必要な児童が増えていることは考えられますし、実際にそのような声を教員・保護者・児童から耳にしますから、プールの授業は特に気を付けて行わなければならないものなのだと思います。また、近年は、PTAを通じた水泳授業の監視ボランティアも確保しづらく、授業ではないですが、学校プール開放においてPTA経由で監視の人をあてがえず、プール開放を行わなくなった学校もあると聞いており、ボランタリーな支援を頼みにすることも難しいです。そして、学校の先生は、体育の教科の評価をつける必要性はあるにしても、水泳の専門家ではない例がほとんどです。教員不足への対応・様々な事故の防止を考えても、専門家に頼ってもよいのではないでしょうか[1]





 このように、学習指導、公共施設の量的削減、学校施設の管理、教員の働き方改革など、様々な観点から、水泳授業を再考することの必要性について、教育長に伺います。





●(2) 水泳授業を外部の専門家に段階的にゆだねることについて





 そして、これまでも議会で問われてきたことでありますが、水泳授業を、段階的に外部の専門家にゆだねてはいかがでしょうか。市内には、様々なスイミングスクールがあり、プールも持っていらっしゃいます。人口減少トレンドの中、手を取り合える部分はあるはずです。水泳指導の技術も豊富で、安全管理もしっかり行えます。教育長に伺います










[1] 舞田敏彦「学校外のプールで行う水泳の授業はいいことだらけ」Newsweek 2022年6月22日https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/06/post-98925.php?fbclid=IwAR2EAVDFqS3B9-1I3KZ0WoOY1MOoLDTuXOrQvLffDrFjFPrOcSD2tNexTAs









(1問目答弁)





■2 小中学校の水泳授業について





(1) 様々な論点から水泳授業を再考することについて





★教育長





小中学校の学習指導要領では、水泳運動系の領域は、適切な水泳場の確保が困難な場合を除き、必修とされています。各学校では、安全に授業を行うために、議員ご指摘の通り様々な準備をして児童生徒の指導に臨んでいます。特に小学校では、教科担任制ではないため、校内に事前に指導法やプール管理に関する研修会を行うなど、中学校と比較して負担が大きいと認識しています。





そのため、小学校の水泳授業に関しては、地域にいらっしゃる水泳指導経験者にご協力いただいています。なお、夏季休業期間中のプール管理については教職員が行うのではなく、外部の人材に委託して管理しているところです。今後の持続可能な水泳事業の在り方について課題を整理し検討することが必要と考えています。





(2) 水泳授業を外部の専門家に段階的に委ねることについて





★教育長 現在プールが設置されていない学校の水泳授業は、市営公園プールなど公共施設を利用していますが、FM(ファシリティマネジメント)の観点から市内水泳施設が削減されています。そのため、市内民間施設の活用も検討を進めているところです。今後、外部人材の活用や、民間との連携について、さらにその可能性について引き続き検討してまいります。





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(一問一答形式)





■2 小中学校の水泳授業について





(1)様々な論点から水泳授業を再考することについて





(2)水泳授業を外部の専門家に段階的にゆだねることについて





▽この、水泳授業をめぐる課題は、これまでも、本当に何度も議会でも問われていていますが、しかしなかなか進めるのが難しいのかなという印象があります。コロナ禍で水泳授業を2年連続中止していて、久しぶりだった今年度にいきなり新しい動きをするのは、なかなか難しいという事情も承知しています。まずは2年間の空白の時間で失われた感覚をちゃんと取り戻して、絶対に事故の無いように水泳授業に臨もうとしたという部分は理解もちろんできるのですが、やはり、教員不足は一向に解消せず、先生方の多忙感はどんどんと強まる中では、ぜひ進めていただきたいと思っています。指導・安全監視の部分に関しても、民間施設・企業の協力を得られるよう、進められないでしょうか





★教育長





現在市内の市営プール、端的に言うとウェルシティを活用しているのですが、同時期に市民が利用している中の併用となっています。利用方法としては、全面を一斉に借りることはできず、一レーンのみを借りる形。ですから子供たちは他の大人と接してしまう状況にあります。これは報告を受けて、私をかんがえなければならないと思いましたのは、水泳授業は例えば45分授業1単位だけでは持たないので、といいますのは移動時間がかかるので、他の授業ができず、土曜・日曜授業が必要になってしまう。一定の時期に、2時間単位で使えて、前後の30分で移動時間を想定すると、たとえば施設を半日、全面借りて、体制が取れれば、学校ごとに、例えば温水プールであれば夏でなくとも利用の形態は取れていけるではないかと、いま担当と検討しているところです





ただ、実質的には各学校が、これは基本的にはプールの無い学校の利用方針を展開し、プールの老朽化に伴えばそれの更新をしないでそこに乗せていけば、そこが一番効率的な変化の方法ではないかなと思っています。であれば、先生方もすべて、1レーンしか借りられないときは、その施設の方たちはなんらか手伝っていただけますが、子供の面倒はあくまでも学校だよと言われてしまっていますので、先生方が民間プールを使っても気は抜けない授業を行っていることに変わりはない状況です。また、担任だけでは足りませんから、他の学年、級外の応援をうけて行っている状況がありますので、ここの使い方、体制の在り方をもう一度見直せば、もう少し効率的な民間プールの活用の方法が出てくるのではないか。ただそのためには、民間プールが、他の方の利用をやめざるを得なくなりますので、移動の経費、多角的に検討する必要があるかなと思っています。





▽加藤  民間施設ですと、平日日中に水泳を楽しまれる方もいらっしゃると思いますので、調整が難しい部分もあるのかと思います。いま、温水プールであれば夏でなくともできるかもと、少し前進だなと思いました。これまでもやはり、6月のまだ寒い時期に、唇真っ青にしながら、プールに入るのはどうかというお話を申し上げていたのですが、少しでもこの水泳授業を巡って、これまで議論したことが解決できれば良いなと思います。






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