2023年02月25日
【ポジティブアクションに取り組むと上地市長が明言した】(2023年2月24日代表質問その1)
2月24日 代表質問 報告その1です。
■上地市長の答弁に、誰もが驚いた
昨日のSNS投稿でお伝えした、上地市長の答弁についての報告です。
市役所管理職の女性割合の向上を目指して、ついに上地市長が、「ポジティブアクションに踏み切ろうと思います」と答弁してくださったのです。
これは、市役所内のジェンダー平等推進においてものすごく大きな一歩であると同時に、よこすか未来会議が会派結成以来ずっと訴え続けたことが、ようやく実を結んだ瞬間でもありました。
ジェンダー平等推進におけるポジティブアクションの重要性については少し解説が必要なので、この文章をご覧の皆様で、ジェンダー平等政策についてこれまであまりなじみのない方には、今回の答弁の衝撃の大きさが少しわかりにくいかもしれません。
ですが、論拠を明確にし、様々な角度から提案し続けることで、市長に思いと、考えと、政策の必要性がきちんと伝わったという事実こそが、本市の将来にとって希望ある結果です。正しいことを伝えたら、市長が正しく応えてくれるまち。当たり前ですが、とても健全だと思います。
また、この政策テーマについて、加藤ゆうすけは本当に粘って取り組み続けたので、今期の最後の最後に、上地市長からとびきり前向きな答弁をいただき、その場で飛び上がりそうでした。(普段、地味だとか、もっと笑ったほうがいいよとか、わたし髪型変えたのになんだそのリアクションは薄すぎるぞ、などと言われる加藤ゆうすけですが、この瞬間ばかりは本当に心が震えました)
※1 ポジティブアクション:積極的差別是正措置。たとえば、「女は機械いじりなんかするもんじゃない」という偏見が社会に根強い中で、工学系に進学・就職する女性の割合を増やそうとすれば、大学の合格者数や企業の採用枠の中で、一定以上の割合の助成を合格・採用とするとあらかじめ決めておくことが有効です。この場合、女性の能力・努力不足が原因で工学系に進学・就職できないのではなく、「女に工学は向かない・要らない」という偏見のせいで、本来受けられるはずの教育や、就労機会が得られないという状況が生み出した結果なので、女性を多く合格・採用とする正当性があり、ポジティブアクションは正当化されます。
※クオータ制: 性別を基準に、一定の人数や比率を割り当てる手法です。例えば「部長級の●●割は女性とする」と明文化して法令に定めることです。
■ジェンダー平等推進におけるポジティブアクションの重要性について
ジェンダー平等を巡っての上地市長との今期の質疑、最初はもうそれはそれは大変でした。
2019年の加藤ゆうすけ一般質問では、ポジティブアクションの一つとしてのクオータ制に対して上地市長から「メリットも、デメリットもある」という評価だっただけにとどまらず、「人権ではなくて、横須賀市職員の女性が上にあがろうとしない。たぶんそれが一番大きなことではないかと思っています」との答弁でした。
歴史的な制度的ジェンダー不平等による男女割合の不均衡が、女性のやる気と熱意の欠如の話にすり替わってしまったことに衝撃を受けたのは私だけではなく、かなりの職員の方が動揺していたのを思い出します。
(過去ブログ:【ジェンダー平等は、まだ遠いのかもしれない】(2019年11月29日本会議 一般質問より)
https://www.katoyusuke.net/blog/1912101040
その後、様々な角度から質疑を重ね、2022年の会派代表質問(質問者は私でした)では、ポジティブアクションに対する否定的評価は消え、「議員ご提案のポジティブアクションに基づく取り組みについては、多様な人材の発想や能力を生かすことで、バランスの取れた質の高い市民サービスの提供に一定の効果があると私も考えています」と前進し、さらにクオータ制についても、
「まずは課長級以上の女性比率向上の手法の一つとして研究していきたいと考えています。性別を問わず、やる気ある職員を積極的に登用することは当然であり、そういった職員が管理職として、政策方針決定過程で参加することは必須だと考えています。~~中略~~まずは目標達成のために、クオータ制を含むポジティブアクションの活用を含めた検討を行い、男女共同参画社会、女性活躍社会の実現に向けて取り組みを進めていきたいと考えています」
と、前進が見られました。ただ、ここでは、あくまでも、検討という表現にとどまっていました。
そして、いよいよ本市管理職の女性割合が県下19市最下位となった調査結果が2022年末に公表され、大きな衝撃が走る中、今回の代表質問を迎えました。
(過去ブログ: 【ついに県内最下位になった管理職女性割合】
https://www.katoyusuke.net/blog/20230129
今回、よこすか未来会議は、「男女同数での昇任の義務付け」という、かなり前のめりな提案をしました。
▽小幡議員
ポジティブ・アクションに基づく措置の導入について、市長は引き続き研究を重ねてくださっているかと思いますが、係長相当職、課長補佐相当職への昇任人事に当たっては、男女同数での昇任を義務付けるよう、取り組んではいかがでしょうか。ここまでしないと、もはや本市は、変わることはできません。市長の考えを伺います。
と、今まで以上に踏み込んで、質問したのです。これに対し、
●上地市長
ご提案にありました、一定の人数や割合を割り当てるポジティブアクションの導入については、組織にある無意識の偏見を是正し、多角的な視野で職員を成長させ、その能力を開発する環境を整えるという観点で効果があるものと認識しています。
管理職における女性割合の上昇のために有効な取り組みであると理解していますので、現在の構成比と目標値を勘案し、より実効性のある割合も検討してまいります。
との答弁がまずあって、「これは、もしかすると、ポジティブアクションについて今までで以上に前向きな答弁なのでは…?」と、一問一答時に確認するに至りました。
そして、以下のやりとりです:
ーーーーー
▽小幡議員
続いて多様性の部分について聞かせていただければと思います。以前よりうちの会派からは、何回もこれ質問させていただいている部分ではあるんですけれども、先ほど市長はポジティブアクションのところの質問で、より実効性のある割合を検討したいっていうことをおっしゃっていて、こちら、あの、ポジティブアクションについて前向きに、今やることを検討されているっていうことなんでしょうか?
●上地市長
えー、悩んでるとこなんですよ。で、僕は、私、実力主義だから、男女区別なくて女性にやってきたんだけども、一向に進まないということで、再三お聞かせいただいたんで、ポジティブアクションにちょっと踏切ってみようかなという風に思ってるんですね。
女性の意識なんていうように、これからは女性が必要だって女性が中心だったとは全く思ってるんですが、もっともっと下に出てきていただけなければいけないんですが、様々な、まあ、あの、場面でそのことをお話をしているんですが、一向に上がってこないを見ると、やはり人事というところでポジティブアクションに踏みきってみようという風に思っています。
ただそれが公平なね、公平で、公正な人じゃなければいけないということがありますので、そのへんの兼ね合いを考えて躊躇してたんですが、おっしゃる通り、これは、あの、一向に進めないという風に考えるならば、これから少し前向きに検討して行ってみたいと思います。以上です。
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これから、委員会での新年度予算審査に臨む中で、上地市長の意思が、現時点でどこまで総務部に伝わっているのか、そしてこの上地市長の大きな変化を、市役所全体がどのように受け止め、きちんと政策執行に移せるのか、確認していきます。