2023年10月02日

【ジェンダー平等に関する合同研修会】(2023年10月2日)

 本日、大崎麻子様(特定非営利活動法人Gender Action Platform理事)を講師としてお招きし、横須賀市議会・横須賀市役所合同の、ジェンダー平等に関する合同研修会が開催されました。

 理事者席に加えて、一般傍聴席までをすべて上地市長・田中副市長・上条副市長含む課長以上の全職員で埋め尽くし、ジェンダー平等について2時間お話を伺うという、今までにない取り組みでした。

 講師の大崎様からは、ジェンダー平等の定義から、世界がジェンダー平等を目指す理由、日本でこの2,3年急速に進む法整備とその背景、若い人たちの意識の変化、コロナ禍で進んだジェンダー不平等な現状の分析、そして大崎様がジェンダーアドバイザーとして依頼を受け都市戦略の策定に従事した兵庫県豊岡市の事例について、2時間ノンストップでお話をいただきました。

 内容の量も質も、たとえると、【大学の講義半期分が、2時間に詰め込まれた】くらい濃密だったので、すべてを書き起こせないのが残念です…。

 市役所の内部研修でもあり、かつ資料は普段大崎様も配布していないものなのでこちらで公開はできませんが、最後に私が大崎様に質問をした内容と、お答えいただいた内容だけ、本日は共有したいと思います。



ーー※現場でのパソコン聞き書きメモですーーー
■加藤ゆうすけの質問
お話をありがとうございました。よこすか未来会議 加藤ゆうすけです。
 ジェンダー平等を巡る課題のうち、市役所・市議会の組織に関する課題、とくに女性管理職割合について、伺いたく思います。

 横須賀市役所の職員の女性割合は約30%で、管理職の女性割合は197人中23人で11.7%、議員の女性割合は39人中5人で12%と、全国平均よりも課題感の強い数値となっております。

 市役所の女性管理職割合の向上を巡っては、我々の会派からクオータ制を含むポジティブアクションの積極的導入をずっと求めていて、上地市長もポジティブアクション導入の検討を進めているところで、具体的に目に見える制度を変えて、目に見えないジェンダー規範意識を変えていくという流れは見えてきています。

 しかし、横須賀市に限らない話ですが、「なぜ管理職になって処遇もさほど良くはならない上に、女性にのしかかる様々な負担がいまだ多い中で、管理職としてさらに重い責任を担わなければならないのか」という女性職員自身の声なき声は、ポジティブアクションを求めている我々も、重く受け止めています。単に正しいからではなく、賢い経済だから取り組むのだ、次の世の中のために変えていくのだという部分を大切にして我々が求めているものが、自治体で働く個別の女性の労働環境までは変革する影響力を持てておらず、むしろ大変になるから困る、という反応もあり、歯がゆさを感じております。

 市役所ロールモデルも、いわゆる頼りになる親分肌な男性上司か、あるいはものすごい努力を積み重ね現在の職位にたどり着いた女性上司という、若い世代からは、尊敬するけれども、あまりにも遠い存在、という方が多いようにも思います。市議会も同様で、どうしても24時間365日な働き方を私もしてしまい、これは後輩にみせられたものではないと反省が多いです。

 さらに近年では、そもそも性別関係なく管理職になりたがらないという全国的な傾向もあり、処遇・給与のほかにも、議会で答弁に立つことの責任の重さ、行政の役割が多様化・複雑化する中で業務が難しくなるなど、様々な課題が絡み合って、女性管理職割合の上昇を阻んでいます。
 
 そしてこれがなにをもたらすかというと、すでに国家公務員の採用では起き始めていますが、自治体を社会変革へとつなぐことのできる力を持つ優秀な若い人たちに、選ばれない職場になっていくのではないかという強い危機感を覚えています。そして、とりわけ、女性から、横須賀市に住むことや、横須賀市役所で働くことが選ばれなくなるのではないかということです。

 どの自治体も、こうした課題を基本的には共有しているように思いますが、大崎先生から、こうした地方自治体・地方議会の課題に対して、とくに女性管理職割合を増やすには、という観点から、なにかコメントいただければ幸いです。



●大崎様 ※( )は加藤ゆうすけが文意を汲んで付け加えた個所
 どこの自治体も共通の課題を持っています。豊岡市も同じような(職員の男女割合)構成です。企業は若い世代の採用が増えていますが、管理職、幹部職員には女性が残っていません。やはり重要なのは、経験とやる気がある人を登用するのはもちろんですが、おっしゃる通り、女性だけではなく男性も若い世代では管理職を敬遠します。職場のワークイノベーションでは、男性も女性も働きやすい職場づくりが重要です。

 若い人たちがものすごくコンシャス(敏感)なのは、(人事)評価。フェアに評価されているかにはものすごく敏感。(法施行の結果民間企業で現在行われている)男女間賃金格差のデータは出そろってきていて、要因分析をしています。横須賀市役所の(持っている)データの見方、とくに、20代の賃金格差、40代の賃金格差の比較が重要ではないかと思います(※おそらくこれは市役所組織ではなく民間企業の話をされています)。その間に(20代―40代の間に女性が仕事を)辞めていくということ。この間に辞めないように、評価、長時間労働(を見直す必要がある)。企業の場合、単身赴任・転勤がほぼ男性ですよね。反対に言えば、男性が家庭から引きはがされているというところもあります。これもまた、ジェンダー不平等です。そういうことも含めて、今回の男女間賃金格差、いろいろな指標を一緒に見ることが大事で、残業時間の男女、単身赴任、転勤、ありとあらゆる指標をみると、ボトルネックが見えてきます。これは、女性だけの問題ではない。究極的には、評価のあいまいさ、長時間労働は女性もできないし、男性もそれはできないよというところに集約される。そういう指針をだすということです。

 今すぐに数字を合わせる(目標値を掲げ、それを達成すること)のはすごく難しい。私も、かつて国連で、すべての段階で男女半々にせよとコフィアナン事務総長からオーダーされました。結果として、女性の定着率を高める、男性も育休をとるカルチャーをつくりました。20年経って、達成しましたと。国連トップの会議体がようやく半々になったのです。今のデータはこうだけど、20代はこうだから、今この人たちがやめないように、こういう期限付きでやっていく、というのが情報開示として求められているので、いろいろな関連指標を見ながら、どこに問題があるのかが見えてくるので、それをもとに施策をたてる。それが、女性が(管理職として)上がっていくための重要なメッセージ。じゃあ私も頑張ってみようとなるし、それは男性もしかり。

 あと、ロールモデルってあまりワークしないです。むしろ、(豊岡市役所で)徹底して聞き取り知って分かったのは、女性同士のネットワーク(の重要性)。悩みを言い合うとかではなくて、女性同士お互い高めていくネットワークをつくるのは、女性は下手なのだと、豊岡市での徹底したインタビューでわかってきたところがあります。

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