2022年03月01日

【代表質問を解説する 2 ファシリティマネジメントの一層の推進について】(2022年3月定例議会 代表質問)





加藤ゆうすけが質問者となった、よこすか未来会議代表質問の解説その2です。









■2 FM(ファシリティマネジメント)の一層の推進について





 FM(ファシリティシティマネジメント)とは、施設総量の適正化のほか、維持管理や運営方法の見直し、資産の有効活用等により、経営的な視点を持って施設を有効かつ適切に運営管理する取組みのことです。単なる建物の保守管理計画ではなく、将来にわたる財政状況も踏まえながら、施設を活かす計画として、FM戦略プランが策定され、これに基づく期間が2019年4月からスタートしています。(FM戦略プランの策定にあたっては、FM戦略プラン審査特別委員会が2018年2月―2019年3月設けられ、私は委員でした)





(参考 FM戦略プラン)





https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/1617/koukyoushisetsuhozennshisutemu/documents/fmsennryakuplan.html





 FM戦略プランで一番大きい目標は、「2019-2029年度の期間で、更新費用の将来推計の6%にあたる175億円を縮減する」ことです。





 この数字は、2052年度までに、いまある市の施設を同じ面積で更新すると費用が2,906億円かかるのに対して、今の予算で施設更新に実際につかっている費用を基に計算すると2,026億円にしかならないので、この差額880億円が足らなくなってしまうぞ!という推計が出発点にあります。





 この「FM戦略プラン」は2019-2029年度を対象としたいわば「第1期」として位置づけられております。第1期で、175億円まずは縮減しようと。





 しかし、当然880―175=705億円分まだまだ縮減せねばなりませんので、第2期(2030-2041年度)に257億円、そして第3期(2042-2052年度)には448億円をさらに縮減せねば、計算が合いません。





…ここまでご覧になって、どのように感じますか?「早めにやらないと、子、孫の代までこれは大変だぞ」となりますよね? そのような意味で、第1期といえど、一層FMを推進しないといけませんよね、との観点で質疑しました。














■ようやく学校施設系のファシリティマネジメントが進むかもしれない





 FM戦略プランの策定以来、市長部局は、かなり前倒しでFMに取り組むぞ!との意欲を見せてきていました。これは、これまでも私たちが求めてきたことなので、評価しています。





 一方で、学校施設はどうか。個別の学校施設については、実は別途計画を定めて取り組むこととなっており、正直あまり進展が見られなかったのがここ3年間でした。









 ところが、これはFMの観点で大問題なのです。なぜかというと、市の公共施設の面積の約半分は、学校施設だからです。









このような背景の下、以下の質疑をしました。





―――――質疑の引用――――――





▽加藤





(1) FM戦略プランの見直しと、学校施設の再編との連携について





続いて、ファシリティマネジメントの一層の推進について伺います。FM戦略プランの縮減目標は達成されつつありますが、一方で人口構造・産業構造の変化は速度を上げて進行中です。2022年度は、次期基本構想・基本計画が開始し、次期実施計画も開始する、節目の年度です。FM戦略プランに記載のとおり、実施計画の時期に合わせ、具体的取組の見直し、実施計画への反映は行われているものと思います。本市の公共施設の面積の約半分を占める学校施設の再編に向けて、2022年度から新たな見通しの下動き出すことも期待します。ファシリティマネジメントの一層の推進に向けた、FM戦略プランの見直しと、学校施設の再編の議論の連携は欠かせません。この視点について、市長・教育長に伺います。





●上地市長





横須賀市の公共施設の適正化を達成するためには最も大きな面積割合を占める学校施設の再編について、より踏み込まねばならない。現在の学校施設は、生徒数がピーク時の半分以下であるが施設の保有量は大きく変わっていなかったり、耐震補強済みではあるものの旧耐震基準で建てられた建物が全体の7割以上である。子供の教育環境としても欠かせないのは言うまでもないですが、学校施設の背景を踏まえながら教委が策定した教育環境整備に関する計画に沿って、教育委員会と共にがっちりタッグを組んで進めたい。





★教育長





学校施設の再編については、令和4年3月に教育環境整備計画を策定し、小中学校の小規模化や学校施設の老朽化が進む中で、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)を考慮した建て替えや、通学区域に関する課題が生じているため、これまでのような小規模校対策だけではなく、全市的な視点で地域ごとの将来像を見据えた対策を進めています。対象区域における検討の際は、他都市の利活用に関する議論も想定されますので、FM推進課や関係部局と連携をはかります。





――――――質疑の引用終わりーーー





ご答弁ご覧いただいた通り、市長自身から、「児童生徒数がピークだったころから面積がほとんど変わっていない」と課題認識がきちんと示されました。また、教育長からは、この3月に、学校施設の将来像を考える上での個別計画である教育環境整備計画の策定が示されました。(3月定例議会期間中の委員会審査で登場する予定です)





 これを踏まえて、教育環境整備計画ではより踏み込んだFMへの取り組みを期待する意味合いを込めて、一問一答形式で問いました





――――――質疑の引用――――――





(1) FM戦略プランの見直しと学校施設の再編との連携について





▽加藤





市長部局のほうのファシリティマネジメントは、12月の報告時点から、今回実施計画はじまるにあたってさらに加速していて、役所屋追浜店と追浜市民活動サポートセンターの9月廃止と追加で出していただいていて、とても力強く思います。とにかく早めの見直しの着手の観点で進めていただいていてありがたい。一方で、教育長に伺いますが、今回、横須賀市教育環境整備計画ができてくるというのは、学校統廃合も含めた議論を地域で腰を据えてやるための地域別協議会をやるぞ、ということなのですよね?





★教育長





ご質問の通りで、これまでですと小規模校をどうするかという話を10数年前に追浜地区と汐入地区でやりましたが、 総論賛成だが個別の学校についてはいかがなものかという形でとん挫しました。今回考えていますのは、一定のエリアの中で、その地域の中での小学校を、小規模中規模大規模も含めた中でどのように配置したらよいかを根本的に考えていきたい、地域の皆様が今後そこで住みながら子どもを育てる環境としてどうかということをやりたい。今回、前期後期の二つに分けた計画ですが、一期目については、建築年が古い建物の学校がありますので、その学校をまずはターゲットに直接的な話に入っていきたい。一方で、もう一か所、大変小規模で、このままでは直近の課題になっている、これを前期4年でやりたい。次の後期4年はもう少し大きなエリアで、全ての学校の配置をどうするかを、地区ごとで解決を図っていきたい。





▽加藤





具体的にありがとうございます。教育振興基本計画の目標値でも、地域別協議会の目標を拝見していますが、やはり、築50年以上経過した学校施設が240棟もあって、向こう4年間で地域別協議会が2か所というのは、熟議が必要な分、もっと多くの箇所に早急に着手すべきだと思いますが、いかがですか。





★教育長





すべてに理解いただけるかたが保護者の皆様であれば、一年ですぐにこうしましょうと結論が出るのだと思いますが、多くの方が建築年が古いといっても自分の子供が通っている間に遠くににいかないと、となったときに、現実にいらっしゃるお子さんをどうしてあげるかをちゃんと理解していただかないとならないと思っています。まずそのための同意を必要としているので、まずは前期2か所。ただ、そこの場所が早く終わるのであれば次の箇所に入っていくのは当たり前だと思います。あくまで、今いらっしゃる保護者、お子さんのことを考えて、でも将来的なことを考えて早いうちに手をうてば、ということをお話をしていくのに、ぜひ、議員の皆様も総論だけではなく各論にもご賛同いただければ、ご質問の通りの期間的に早く進められるのではないかと思っています。





▽加藤





施設は単なる箱ではなく、地域の大切な思い入れの詰まった場所であるという教育長の思いもわかるのですが、建物の修繕費を考えると、築50年以上経過したものもある中で、見積もり持ったうえで、教委として把握した上で、修繕建て替えに備えながらこうした議論に備えているのでしょうか。





★教育長





昨年3月の段階で報告したが、長寿命化計画は策定している。文科省のいう80年間を伸ばすためにはどうするか、全ての全校の積み上げは終わっています。今回、これに対し、それぞれの改修が行われるとすれば、その長寿命化計画の見直しが同時についていて、将来負担を一緒に計算していく、そういう仕組みとして考えています。なので、その意味では、築80年の中に、他の整理をしなければならないことどうなるかがついてくる。全部網羅したうえで。でも古いこの場所と、課題の大きなこの場所を最初に検討課題として作り上げているものです。





―――――質疑おわりーーーー





学校統廃合の議論を10数年前に行ったがとん挫した歴史を踏まえ、今度こそ取り組むという新倉教育長の意思がはっきりわかる答弁でした。





議論に着手する時期については、今回の計画前期4年間で2か所とする教委に対して、私たちは、議論には時間をかけなければならないのだから、着手は早いほうがいいし、もっと多くの箇所に着手すべきとの考えで若干異なりますが、学校施設のFMがようやく前に進みだすことは評価しています。





きちんとしたFMの議論がすすめば、数十年前の教育環境の想定でつくられた学校施設が、個別最適な学びを実現する少人数教育・インクルーシブ教育・GIGAスクール構想など教育をめぐる近年の進歩、そしてなによりその場に集うすべての人にとってより適合したものになるはずです。






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