【認知症予防に必要なことは、アミロイドβを蓄積させないこと。漢字ドリルをやっても意味は無いらしい】

【認知症予防に必要なことは、アミロイドβを蓄積させないこと。漢字ドリルをやっても意味は無いらしい】

 

グリーンハイツ「ゆいの広場」で、「認知症のことを理解する」講演会が開かれました。

グリーンハイツは、高齢化率市内第1位の集合団地。約1,000世帯が一斉に供給され、一斉に高齢化した典型例ですが、住民主体の支え合い活動の先進地域でもあります。

 

今日のおはなしを私なりに一言でまとめると、

認知症予防に必要なことは、アミロイドβを蓄積させないこと。漢字ドリルをやっても意味は無い。

でしたね・・・!

 

■講師

石井慎一郎先生

博士(保健医療学)・理学療法士

国際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻 福祉支援工学分野 教授

 

■■■講義メモ■■■

 

■認知症は誰にでも関係がある。

85歳では、3人に1人が認知症になる。認知症にならなければ、認知症の人を介護する側に回るだけなので、認知症は切っても切り離せない社会になる。

■神経伝達の仕組みと、認知症発症の仕組み

神経細胞のシナプス(接合部)は、実は、ぺとっとつながっているわけではない。電気信号が送られてくると、神経伝達物質が先端部分からでてきて、レセプターが受け取ることによって、信号が伝わるという仕組みである。

認知症は、このシナプスで起こる。神経伝達物質の他に、アミロイドβという別の物質が放出される。アミロイドβがたまりすぎると神経伝達物質の通りが悪くなるので、ミクログリアという細胞が食べてくれる。でも、ミクログリアは、アミロイドβを取りこぼす。取りこぼしたアミロイドβが、加齢によってたまっていき塊になる(アミロイドプラークという)と、電気信号が伝わりにくくなる。アミロイドプラークは、40代からたまり始めると言われている。

認知症を予防する薬はあるが、治す薬はいまのところない。いわゆる「ど忘れ」が少しずつ起きてくるが、この時点では認知症は発症しない。忘れてしまったのではなく、注意を払っていなかったから覚えてなかった、というだけのことがほとんどであるので、気にしなくていい。ある一定のアミロイドプラークがたまってくると、発症する。この臨界点に達するまで、15~20年かかると言われている。臨界点に達すると、ミクログリアが、「超活性」化する。ミクログリアが、アミロイドプラークを消滅させようと物質を出すのだが、この物質が神経細胞そのものを破壊してしまう。そうなると、この神経回路は使えなくなるので、この状況をもって、認知症という。

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■徘徊ではない

「徘徊」という言葉は、実は適切ではない。本人には、何かを探している・どこに自分がいるのかを探しているという目的がある。ただ、認知症になってしまっているので、その目的さえも忘れてしまい、ああ、困ったなぁという気持ちだけが残っていて、歩きまわってしまう。認知症の患者に接するときは、その人の内部世界に入っていき、その人の内部世界の中で適応できるよう少しずつ誘導してあげることが必要である。一番やってはいけないのが、本人が何が何だかわからなくなる情報をぶつけて、パニックを起こさせてしまうこと。

■認知症予防に必要なことは、アミロイドβを蓄積させないこと

漢字ドリルをやってみるなど、よく言われる認知症予防は、今現在つながっている神経回路を使っているだけでは、認知症予防には直接的には意味が無い。アミロイドβを蓄積させないことが、直接的に必要なこと。

アミロイドβを蓄積させないためには、よい睡眠をとることが一番重要。ミクログリアは、睡眠中に、アミロイドβを効率よくお掃除できる。起きている間は、神経が頻繁に使われているので、道路に車がばんばん走っている状態で掃除しろと言われているようなもの。

ミクログリアが超活性した状態になると、不眠になる。認知症発症間際のかたは口を揃えて「夜眠れなくなった」という。良い睡眠というのは、自律神経のリズムが関係している。起床12時間後に睡眠のモードに入る。睡眠の周期は25時間。寝ると、自律神経がリセットされる。

■予防のために、できること

日中に、活動のモードになっているときに、ただじーっとテレビを見ている、庭木の世話をするくらいでは、バリバリ働いていたころの10%も脳を使っていない。脳を使う一番いい方法は、漢字ドリルではない。総合的に使わねばならない。

①いろいろな人と社会活動をすること。予定を立てること。自分の行動を計画することで、人は脳をものすごく使う。人との会話も、ものすごく脳を使う。

②歩くこと。

なお、認知症の診断は、歩行を見ると、わかる。歩く速度が遅くなり、障害物への対応も遅れる。横断歩道を、赤になる前に渡り切れなくなったら、それは認知症のサインである。

 

■それでも我々は認知症になる…のか?

アミロイドプラークがたまって、神経細胞は死滅する。必ず起こる。これが老化。

しかし、修道女に対する有名な研究に、予防の重要なポイントが示唆されている。修道女の脳を解剖し、認知症の病変を調べた。ほとんどの人が、認知症の人と全く同じ病変が確認されたが、生前、全く何の問題もなく修道女として生活を送っていたことが明らかとなった。発症せずに生活できる人が相当いるという研究結果である。生前から、いろいろな人とコミュニケーションを取る中で、認知予備能力が人よりも高かったことが明らかとなった。

認知予備能力とは、たとえば、石井先生のことを「ゆいの広場で講演をした人」「大学教授の人」「風の谷リハビリデイサービスで色々やってる人」「長谷川さんの恩師」などなど、複数のことで覚えていれば、思い出せる可能性が高くなる、ということ。

地域コミュニティがしっかりしていると、認知予備能力が有効に機能する。買い物に行くの?と声をかけてくれる地域の人がいれば、何をするか忘れかけていた認知症予備軍の人も、生活ができる。「呼び寄せ介護高齢者」というのが最近話題になる。子どもがいる場所に親を呼び寄せてケアしはじめたとたん、認知症を発症する例である。新しい場所では、その人の認知予備能力は発揮されない。

 

■やっておくべきこと

①自分が集中して行える手作業のようなものを覚えておくこと。

認知症の患者に、陶芸・絵画・書道・編み物など、その人が昔からやっていた手作業をやってもらうと、落ち着きを取り戻すということがわかっている。何かひとつ、今から、座ってできる手作業を覚えておくとよい。

②骨折しない。

骨折をすると、生存率は低くなる。

③良い感情に結びついた記憶をつくる。

感情に結びついた記憶は、最後まで残る。認知予備能力を活かすことを考えたときに、できるだけ、地域の人たちのことを、「好きだな」って思うことが重要である。全ての人を好きになる努力・あまりくよくよ悩まないこと。

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