2018年03月04日

【児童相談所と、教育 2月28日代表質問3日目】

【児童相談所と、教育 2月28日代表質問3日目】



代表質問3日目は、市政同友会と、日本共産党が行いました。


■児童相談所での一時保護と、教育の提供


「児童相談所」という言葉は耳にされたことがあると思います。

そして「ああ、虐待見つけたら通報するところね」というくらいの印象だと思います。

横須賀市は「中核市」なので、県単位で設置される児童相談所を、市独自で持つことができます。そして、「独自に持つぞ」という判断のもと、持っています。



児童相談所の中の施設の一つに、「一時保護所」というものがあります。

ここは、虐待を受けたり、貧困下に置かれていたり、非行に走ったりなどを理由に、一時的に保護する必要がある子どもたちが生活する場です。日本全体では、一年間で2万4000人もの子どもたちが何らかの理由で一時保護されており、横須賀市の一時保護所でも、一年間に133人を受け付けています(※1)。



子どもたちは、ある日突然、一時保護されます。その子の命の危険が迫っているなど、緊急対応として保護されるわけで、当然、勉強道具を用意してゆっくりと、などというものではないケースがほとんどです。



一時保護される理由は様々ですが、その子の安全を守るために、という点では一致しています。そのため、それまで通っていた学校への通学はおろか、外出すらほとんどの場合できません。となると、一時保護所の中で勉強するしかないわけです。



ところが、この、「一時保護所の中での勉強」をサポートする体制が、とても弱いんです。



この日の、一時保護児童に対する教育機会の提供についての質疑に対する市長の答弁は、



  • 市長「保護児童の年齢は様々であり、保護期間も不確定であるために、学校のように、カリキュラムにそった授業ができないのが現状である。したがって、来年度の一時保護所での学習は、今年度同様、小学生と中学生以上の2クラスに分け、元教員2名で対応することとし、40分授業を午前2コマ・午後1コマ実施する。」




  • 市長「教育機会均等の観点から、保護児童に対しても教育を受ける権利を保護することはとても重要であり当然だと考える。一方、福祉的側面で考えると、まずは安全保障が第一であって、通学時や、学校内での安全が確保できない中では、登校させられないのが現状である。したがって今後も一時保護所内での学習支援を行うことで、教育を受ける権利を最低限保証するとともに、最優先で行うべきことは、児童が安心して学校に通えるための環境調整を速やかに行うことである。」


という内容でした。


■自分で自分の身を守れるようになるために必要なのが、教育だとすれば


一時保護によって学校にある日突然いけなくなるため、学業面で同世代の子に確実に遅れを取ります。

このことは、10か所の一時保護所を訪問、2か所に住み込み、一時保護された子ども、親、職員らにインタビューを重ねた慎泰俊(しん てじゅん)さんの著書(※2)に詳しいです。市長答弁の通り、「保護児童の年齢は様々であり、保護期間も不確定である」ことは間違いなく、それがゆえに、教育機会の確保のための、子どもひとりひとりへのきめ細やかな対応が難しいことは事実です。

しかし、一時保護された子供たちが、自分で自分の身を守れるようになるために必要なものは、「教育を受ける機会」です。子どもは親も、生まれてくる環境も、育つ環境も、自分ひとりでつかみ取ることはできませんし、まず教育を受けなければ、自分で環境をコントロールするためのスタートラインにすらたてません。



子どもが自分で自分の身を守れるようになるために必要なのが、教育だとすれば、一時保護所に来ざるを得なかった子どもたちが、その環境を自ら変えるためには、一時保護所でも十分な教育を受け続けることができるように、行政が取り組むよう促し続けねばと思うわけです。行政も同じ思いだということは理解しつつも、それでもなお、促さねばと思うわけです。



毎年100人以上の子どもの、一生に関わる問題なわけですから。



※1 平成28年度「福祉行政報告例」17表 児童相談所における所内一時保護児童の受付件数及び対応件数,都道府県-指定都市-中核市×年齢階級・対応の種類別 より引用。https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&tstat=000001034573&cycle=8&tclass1=000001108815&tclass2=000001108820&second2=1



※2 『ルポ 児童相談所 一時保護所から考える子ども支援』慎泰俊、ちくま新書、2017年

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