24.09.27 Fri
【”遺品部屋”】(2024年9月20日 都市整備分科会)
2023年度の決算審査の報告です。【”遺品部屋”】市営住宅は、「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅」を整備して、「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」することで、「国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する」ために整備されています(公営住宅法§1)。このため、市営住宅は、住宅が無い人のためのセーフティネットであると同時に、様々な課題を抱えた方のための福祉政策でもあります。そうなると、当然、一人暮らしのご高齢の方も多くお住まいになるわけですが、近年、こうした方が亡くなったのち、身の回りの持ち物がそのまま部屋に残され処分ができない、といった状況が増えています。NHKは、こうした部屋を”遺品部屋”と名付けて報道しています。▽参考 団地の一角に“遺品部屋” 引き取り手なく「20年保管」もhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20230531/k10014082621000.html都市部の決算審査では、本市の市営住宅における”遺品部屋”の状況を確認しました。・2022年度までで22軒、2023年度に一気に増えて35軒ある・最長の”遺品部屋”は2017年度に亡くなられた方の部屋で、2軒ある・上記の2軒は、遺品の相続人も調べがついているが、引き取ってもらえず未解決・遺品の強制的な差し押さえや撤去はできない他市同様、困難な状況に変わりはないのですが、市営住宅は税を投入して管理される財産であり、良い立地の物件には常に入居希望者がたくさんいらっしゃいます。引き続きの取り組みを求めます。ーーー書き起こしーーーー▽加藤ゆうすけ (市営住宅の残置物について (市営住宅課) )事務事業の総点検 その他事業 市営住宅指定管理事業 について伺います。決算説明資料 43ページ こちら、まず、市営事務事業の総点検 その他事業の方を見ますと、 市営住宅の管理業務として入居者の退去業務というのがあると思います。で、こちら、事務概要と決算説明資料を拝見したところ、この退去業務として、年間何件程度退去して、退去業務にいくらかかったのかというのはちょっとぱっと把握できなかったんですが、例えば強制執行による退去の場合は、この決算説明資料の44ページの 強制執行補助業務委託料なのだとは思うんですが、通常の入居者の退去業務の場合は、この43ページの(2)市営住宅指定管理事業の中に含まれてくるんだと思うんですが、この退去業務というのは年間何件ぐらい、 わかれば伺わせてください。 ●市営住宅課長委員ご指摘の通り、退去業務、こちらの業務の内容、 主なものはですね、引っ越しが終わって最後の明け渡しの時に、忘れ物がないかですとか、 現状回復してない、壊れているところがないかとか、そういう確認の業務が主になります。 その中で、 ごめんなさい、ご質問のあった返還数ですね、返還届が出たものは令和5年度で 16件ございまして、その中で、修繕量は除きますと、いわゆる家財撤去のような部分でよろしいんでしょうか。はい。家財撤去費はご指摘の通り指定管理料の中に含まれておりまして、こちらは本来は入居者の方に片付けていただく、費用負担もしていただくものでございますが、 例えば身寄りのないご高齢の方が亡くなられて、 そのお子さんとか、姪御さんがですね、自分の親に頼まれたからということでご夫婦で自前で片付けて、返還届を出した上で片付けていただくようなことがございます。 ただ、返還期日までにですね、どうしても大きなタンス等はですね、残ってしまう場合もございますので、そういう時はそれ以上は お願いするのはちょっと厳しいかなという判断で、この指定管理料の中で対応させていただいております。返還数は196件で、家財撤去の費用が約350万でございます。 ▽加藤ゆうすけ 今、身寄りのないご高齢の方が亡くなられてるというお話がありましたが、本会議の一般質問で小幡議員から、 1人暮らしの方の死亡による退去に伴う残置物がある例を引き合いに、市営住宅における日頃からの福祉的支援の重要性というのが質疑をされていたんですが、この1人暮らしの方の死亡による退去に伴って残置物が処理できず残り続けてる市営住宅というのは現在何件ございますか。 ●市営住宅課長 先ほどの、返還数の、それ以外の数になります。いわゆる未返還の部分になります。そちらが令和4年度までで22件ございました。 そこで、令和5年度は急に増えまして、13件が追加になりましたので、合計で35部屋、35件という風に把握しております。 ▽加藤ゆうすけ こちら、未返還のものというのは、 その残置物が相続人がいるものの連絡がつかない、あるいは連絡がついても引き取りに来ないというような事情で残置物がそのままになっているのだとは思うんですが、 この35件は、今、令和5年度に13件増えた分はまだ1年くらいしか経ってないと思うんですが、それ以前まで、令和4年度までで22件あった分というのは、 最長でどのくらいの時間そのままになってるんでしょうか? ●市営住宅課長 1番長くその状態が続いているのが、平成29年度に亡くなられた方。こちらが2部屋、2件ございます。 こちらは相続人の調査は終了しておりまして、現在、相続人の方と、未だになんですが、ご協力をいただくように交渉しているところでございます。6、7年経っております。2件がございます。 ▽加藤ゆうすけ非常に重い課題なのかなという風に思っております。あの、 小幡議員への市長答弁で、市営住宅は重層的な住宅セーフティーネットの中核としての役割を担うことから、 高齢者や障害のある方に多数入居いただいている現状にあるので、市営住宅は福祉政策としての側面も持っていると当然のことながら考えていますというご答弁はいただいている通り、やはり、1人暮らしのご高齢の方というのが増加して、市営住宅においてこうした死亡による残置物の処理は困難になる。ある程度仕方のない部分もありますし、ある程度事前に想定できる部分でもあるのかなという風に思っております。 そして、現状、伺ったような状況ですと、やはりこの35件のような状態に一旦なってしまうと、もちろん強制執行もできず、かといって相続人の調査も複雑で大変時間のかかるものですし、なかなかどうにもならなくなってしまうという部分があると思っているんですね。なので、できればそうなる前に、つまり、入居時に取り交わす契約の書類の中ですとか、あるいは入居時に 市役所側と接点を持つ中で、こうした残置物が生まれてしまった場合の処理について取り決めをするということが何かできないのかなと思うんですが、そのあたりについてご見解を伺えればと思います。 ●市営住宅課長こちらは、今お話ありました残置物、報道等の言葉を借りると、「遺品部屋」というような言い方をされています。なぜかというと、おそらく ご本人にとってみれば大変価値のあるものが含まれてるかと思いますので、あえて「遺品部屋」というようなお答えをしますが、 まず市営住宅入居の時はですね、現状回復をしてくださいということで約束は交わしております。 しかしながら、単身の方がお亡くなりになった場合、身寄りの方がない場合はそのままになってしまいますが、 市営住宅の入居は私債権でございまして、 強制的に差し押さえや撤去ができないものとなっております。 その根拠の考え方はですね、やはり先ほどお話ししました、まずは亡くなられた方及び相続されるご親族の財産権を侵害しないように注意しなければいけないと思っております。また、先ほどの感情の部分ですね、ご本人、ご遺族の感情への配慮も必要かと思っておりますので、また繰り返しになりますが、私債権であるということから、地道にですね、相続人調査をしてお願いをするような形で進めていきたいと思っております。 ▽加藤ゆうすけ 今、遺品部屋のお話をしていただきましたが、私もその言葉を知って、 かなりの自治体で課題となっていて、かつ、なかなか解決方法が見つからないというところも承知をしたところです。できればですね、市営住宅、行政の財産として有効に活用されたいという思いもありますので、いつまでも活用できない状態が生まれてしまう部屋というのはなるべく避けていただきたいなと思います。こうした課題について取り組むことについて、最後、部長のご所見だけ伺って終わりにしたいと思います。 ●都市部長 はい、 そうですね。市営住宅課長がおっしゃった通りですね。非常に難しい問題だと思っておりまして、行政の方で残った残置物の処分については 粘り強く取り組んでいるということなんですが、おっしゃる通り、こういった問題っていうのは行政の財産ですので、対応をですね、これからちょっと他の事例、自治体の例も参考にしながら研究してみたいという風に思ってます。