2022年08月30日

【乳幼児期の障害福祉】(2022年8月29日 一般質問その①)

8月29日、一般質問を行いました。





今回取り上げた内容は、以下の通りです:





1 障害特性に合わせた支援が必要な市民等への各年齢段階における諸課題への対応について
(1) 乳幼児期の障害児支援について
ア 療育などの福祉サービスに関する情報を、転入間もない市民にも積極的に届けることの必要性について
イ 転入の際に福祉サービスの存在に気づくことができる機会を積極的につくることについて
ウ 乳幼児期の障害児の子育てに向き合う保護者が不安なまま待機する時間が短縮されるよう、さらなる相談の機会を提供することについて
エ 社会性発達のリスク評価を行う機器を導入し、最適な療育への接続と保護者の安心感につなげることについて





(2) 学齢期の障害福祉について
ア 教員不足が原因となる中での本市の特別支援教育の現状について
イ 巡回相談のさらなる活用につながるニーズの調査、把握について
ウ 各学校の特別支援教育を支援するため、特別支援学校が有する特別支援学級に対するセンター的機能を強化することについて





2 小中学校の水泳授業について
(1) 様々な論点から水泳授業を再考することについて
(2) 水泳授業を外部の専門家に段階的に委ねることについて





―――――





■1 見過ごされがちな「転入者」の孤立





乳幼児期の障害福祉について、まず問うたのが、転入者の孤立の話でした。





これは、障害者福祉に関する意見交換会(障害者施策検討連絡会主催)に参加した際に伺った、障害を持つお子さんを育てる保護者のお話がもとになっています。





新型コロナウイルス感染症流行による緊急事態宣言下、発達障害児を育てながら、妊娠中であったそのかたは、外出が困難な中、療育相談センターでの受診機会をなかなか得られず、相談相手もなく、親族のサポートもなく、つらい思いをされたとのことでした。





少子高齢化、人口減少社会で、「子育て世代の転入」に対する期待は高まります。一方で、転入者は、転入先に何らのつながりを持たないケースも多く、孤立してしまうことがあります。





本件は、その課題が、乳幼児期の障害福祉に関する情報不足と不安感として顕在化したものです。









●転出入の多い職場に働きかけを





質疑の結果、「今後、そのようなことが無いように、療育など福祉サービスに関する情報につながりやすくするため、より効果的な情報発信方法を検討したいと思います。」と上地市長から答弁が得られました。





また、私からは追加で、5年前に大規模災害時の隊員家族支援で市が自衛隊と連携協定を結んだ事例を引用しながら、ある程度わかりやすくまとまった人数の転出入がある職場にも働きかけてはと提案しました。





これに対しても、植野福祉こども部長から、「今ご提案いただいた、出入りの多い職場に対して、働きかけることもぜひやっていきたいと思います。」と答弁が得られました。





■2 乳幼児期の障害児の保護者の相談受付にさらに注力することについて





また、転入者に限らず、乳幼児期の障害児の保護者を巡って、





①相談→面談→診療の各プロセスで生じる待ち時間の間に保護者の中で不安が膨らんでいくこと





②いま提供されている療育がお子さんにとってどのような意味合いを持つものなのかが保護者に伝わり切らないこと





をあげ、乳幼児期の障害児の子育てに向き合う保護者が、不安なまま待機する時間が少しでも短くなるよう、相談できる機会を増やすことについて、上地市長の考えを問いました。





これに対し、市長からは、





「乳幼児期の発達の遅れに伴い、障害が疑われるお子さんの子育てについて、不安を抱えるのは想像に難くないと思います。しかし、相談・面談・診療の各プロセスで生じる待ち時間は、お子さんの発育・発達状況により見立ての時間を要するなど、長期間になることもある。一方、不安・疑問については、地域の健康課、健康福祉センターによる保健師が随時相談体制を整えています。このように、保護者の不安をなるべく早期に解消できる体制を整えているので、障害福祉課をはじめ、関係する各課が連携し、必要な時に相談できる体制があることを周知し、不安の解消につなげます。」





と答弁がありました。





続く2問目で、私からは、乳幼児期の保護者で、思い悩んでいる時間に孤立しないように、少しでも、何か困ったことがあったら、いつでも地区担当の保健師を頼っていいんですよと、市長からも発信いただけませんかと促し、市長からは、

「ぜひ発信したい。発達障害だけではなく、横須賀の問題点として、地域社会は、絆が強いが、排他的である。これはいつも頭を悩ませているところで、外からこちらに来られたかたが孤立しがちで、市内の人間から排斥されがちな傾向があるのは大きな問題点だと思っています。地域社会で皆さんで助け合う気持ちが強いんだけれど、といって、外から来た人を暖かく迎え入れる、開放的である、自由であるとしなければ、このまちは絶対に発展しない。助け合うまちと思っている。職員にも、全ての人たちにも理解してもらって、積極的に、啓発につとめてまいりたい」





と答弁がありました。









今回、質問にあたってお話を伺う中で、障害児を育てる保護者にとっては「乳幼児期に、保護者が、子どもの障害を受け止めることが、一番の山場」であると学びました。





専門家が診察し、適切な療育が提供されることと同じくらい、保護者の不安に対しタイミングよく相談機会が提供され、不安が解消に向かうことは、その保護者のもとで育つお子さんにとって重要だと思いますので、引き続き市にも求めていきたいと思います。





明日以降、また続きを報告します。





――――





参考:原稿全文





よこすか未来会議の加藤ゆうすけです。発言通告に従い、市長・教育長に質問します。





■1 障害特性に合わせた支援が必要な市民等への各年齢段階における諸課題への対応について





 1点目は、障害特性に合わせた支援が必要な市民等への各年齢段階における諸課題への対応について伺います。今回は、乳幼児期から学齢期にかけての時期の諸課題について、順に伺います。





●(1) 乳幼児期の障害児支援について





●ア 療育などの福祉サービスに関する情報を、転入間もない市民にも積極的に届けることの必要性について





(支援教育課、障害福祉課、窓口サービス課他)





 まずは、乳幼児期の支援について、伺います。先日、障害者施策検討連絡会主催、障害者福祉に関する意見交換会に参加しました。本市からも、障害福祉・特別支援教育に関係の深い部局の皆さんがご参加されていたかと存じます。その場において、ご家族の都合で本市に転入された発達障害児の保護者が、悲痛な思いを述べられていました。新型コロナウイルス感染症流行による緊急事態宣言下、発達障害児を育てながら、妊娠中であったそのかたは、外出が困難な中、療育相談センターでの受診機会をなかなか得られず、相談相手もなく、親族のサポートもなく、つらい思いをされたとのことでした。このかたは結果的に療育相談につながっていますが、本件から見える課題は、市外から転入されたかたが、慣れない環境の中、情報を十分に得られず、福祉につながりにくかったという事実です。





そもそも、少子高齢化の進む中、子育て世帯自体が減っているので、様々な情報支援がなければ、周囲のサポートを得られる機会にたどり着けません。放っておいても、子育て世帯同士が、勝手に地域でつながる時代は終わったといえます。療育の相談ともなれば、より悩みは深刻です。市外から転入となれば、まちの様子もわからず、妊娠中・乳幼児世帯は外出も難しい。そこでまずは、療育など福祉サービスに関する情報を、転入まもない市民にも積極的に届けることの必要性について、市長のお考えを伺います





●イ 転入の際に福祉サービスの存在に気づくことができる機会を積極的につくることについて





 先にあげた事例のような、市外から転入されたかたであれば、例えば転入直後の転入届の提出などで、市役所と必ず手続き上の接点があるはずです。この機会がチャンスだと思うのです。そして、障害福祉に限らず、全ての福祉サービスに関わりがあることですが、例えば転入届提出の際に、「転入にあたって、ご不明な点・ご不安な点はございますか?」「もしお子さんがいらっしゃる場合、このような福祉サービス窓口がありますが、」と、転入されるかたが何らかのご不安・お困りごとをすでに抱えていらっしゃるのではという視点で、転入した際に、福祉サービスの存在に気づくことができる機会を、窓口業務の業務フローの中で着実に、紙を渡して一声かけるなど、積極的につくることはできるのではないでしょうか。市長に伺います





●ウ 乳幼児期の障害児の子育てに向き合う保護者が不安なまま待機する時間が短縮されるよう、さらなる相談の機会を提供することについて





(福祉施設課(療育相談センター所管)、地域健康課(保健師の地区担当制担当)、障害福祉課)





 そして、ここからは転入者に限らず、広く乳幼児期の障害福祉についての問いになりますが、その保護者のかたはこうもおっしゃっていました。「療育はその子ごとの特徴があって、その特徴に働きかけないと、伸びてこないんです。その特徴が、どこなのかを必死に探していたのがこの2年間だったんで、一人一人の個性を理解する場がもっと欲しかったし、アドバイスも欲しかったんです。その子の障害がどこなのか、自分で見つけるのはすごくつらかった。療育相談センターには行ったし、ネットでも調べたけれども、どうやって調べればよかったのかわからなかったのです」。





本市療育相談センターでは、日本有数の素晴らしい先生による専門的療育が提供されており、本件のお子さんに対する最適な療育の提供に市は尽力されたものと私は受け止めています。発達の相談は、健康福祉センターで受け付けてくださっていますし、定期健診で保健師が発達の度合いを丁寧にご確認くださってもいるとも思います。





しかし、それでも、今回保護者のかたは辛かったとおっしゃっており、それはつまり、相談→面談→診療の各プロセスで生じる待ち時間の間に保護者の中で不安が膨らんでいったことや、いま提供されている療育がお子さんにとってどのような意味合いを持つものなのかが保護者に伝わり切っていなかったことによるものだと思います。障害児を育てる保護者にとって「乳幼児期に、保護者が、子どもの障害を受け止めることが、一番の山場」であると耳にしました。専門家が診察し、適切な療育が提供されることと同じくらい、保護者の不安に対しタイミングよく相談機会が提供され、不安が解消に向かうことは、その保護者のもとで育つお子さんにとって、重要です。





そこで伺います。乳幼児期の障害児の子育てに向き合う保護者が、不安なまま待機する時間が少しでも短くなるよう、相談できる機会を増やすことについて、市長のお考えを伺います





●エ 社会性発達のリスク評価を行う機器を導入し、最適な療育への接続と保護者の安心感につなげることについて





 また、私たちよこすか未来会議として、療育相談センターと市と保護者の関係が円滑に構築され、最適な療育に着実に接続され、保護者の不安が解消されるためにも、社会性発達のリスク評価を行う機器を導入してはいかがかとこれまでも求めてまいりました[1]が、乳幼児期の障害福祉に大いに役立つ可能性はあります。定期健診以外のタイミングで、機器を利用し速やかに兆候を認めた場合、より療育の必要性の高いケースとして、優先順位高く対応もできるかと思います。改めて、その是非を市長に伺います。










[1] 令和4年3月定例議会 教育福祉常任委員会 3月7日 高橋議員






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