2022年11月05日
【災害図上訓練】2022年11月2日
災害対策能力の向上を図るため、大規模地震を想定した図上訓練(会議室で関係各所から情報を集めたり伝えたりして進めるシミュレーション)が11月2日に実施されました。
11月2日の13時15分から17時00分まで行われ、市役所の防災関係職員のほか、警察、消防、海上保安庁、自衛隊、神奈川県職員など、参加者総勢132名のかなり大掛かりな訓練でした。
内容は大きく3つにわかれておりまして、災害対策本部運営訓練では発災1時間後を想定した対応が(そしてその別室で「こういう災害が起きました」などの今回の前提条件を伝える側の動きが)、その後災害対策本部員会議では発災から約半日後の状況共有などを想定した対応が、そして最後に訓練参加者による検討会が、実施されました。
■ぱっと見て思ったこと
訓練実施の妨げにならないよう、議員が見学できる時間は限られていたのですが、その中で思ったことが2点ありました。
●1 狭い。
これはもう一見してすぐに感じたことですが、災害対策本部運営訓練に使用した災害対策本部室が狭すぎて、情報伝達が難しそうでした。
広ければ広いほどいいわけではありません。それはそれで、情報伝達が疎になり、非効率や見落としを生みます。ただ、この人数の密集度で本番を迎えてしまうと、あまりにも導線が混乱し、書類が混ざったり、会話がうまく聞き取れなかったり、いろいろと支障がありそうだ、というのが見ていての感想です。
●2 ほぼ男性しかいない。
そして、訓練参加者のほぼすべてが、男性でした。あくまでも目視確認の範囲ですが、女性は3、4名でした。
訓練後、実施内容と評価についても議員に共有されたのですが、訓練参加者のダイバーシティについては、特に言及されていませんでした。
常々お伝えしております通り、市職員の管理職の女性割合は、2022年4月1日時点で9.4%。人数にして18人。今回の訓練は管理職に限るものではありませんが、災害の初期対応を想定した訓練の場に、女性が著しく少なかったという今回の結果は、重く受け止めるべきだと私は思いました。
女性がいないということは、「私たちの代表とはだれか」に通ずる課題です。市役所職員は、試験で選抜されて採用され、各部署での経験を重ね、管理職へと昇任していきます。住民の代表として選挙でえらばれる市長・市議会議員とは異なりますが、市民の税金を原資として事業を行う市役所職員もまた、ある意味では住民の代表といえます。
そんな、私たちの代表が、限られた属性の人たちばかりになってしまうのは、様々な視点からの指摘がなされず事業が進んでしまう点で、望ましくありません。災害対応でも、プライバシーに対する価値観は人それぞれで、体育館で仕切りがなく床に直接寝具を敷いて安眠できる人もいるかもしれませんが、何者かに襲われた際に体格差で反撃しづらいのは男女でいえば女性ですから、プライバシーが守られない環境に対する恐怖はより強いものになります。ある人から見れば取るに足らないことかもしれませんが、別の人にとっては大きな問題であることは、多数あります。男・女の別で言えば、女性が市民人口の半数を占めるのに、私たちの代表の中に女性がごくわずかしかいないのは、「人口の半数」にとっての「大きな問題」を見落とす可能性を高めてしまいます。
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ともあれ、こうした課題は、訓練を実施したからこそ見えるものであります。
今回の図上訓練の結果見えたこと、図上訓練だけでは見えなかったこと、それぞれ整理して、いつか必ず来る大規模地震への備えを高めていってほしいと願っています。