2022年05月16日

【上乗せの5万円】(5月13日 2022年招集議会)

先週のブログの通り、5月13日の招集議会にて、議案第61号令和4年度横須賀市一般会計補正予算(第1号)の子育て世帯生活支援特別給付金について、上地市長に質疑しました。給付金をもらえる・もらえないの差が、本来感じる必要のなかった不公平感を生み、結果として悲しい思いをする市民がでることについて問うたものです。





■なぜ問うたのか





今回の給付金事業は、昨年4月に実施されたものと同じく、国の給付事業です。内容も、所得の低い子育て世帯に対するものです。そして、今回補正予算を組んだのは、この児童1人5万円という国の給付金に、市単独事業として児童1人5万円を上乗せして支給するためです。





















 前回の給付事業ののち、給付を受けられないものの、苦しい生活にある世帯からの声を耳にしました。





 行政の施策である以上、線引きはやむをえませんし、全てのかたに現金給付するのは財源を考えても非現実的ですから、なんでもかんでも給付してほしいという陳情ではありません。





 ただ、線引きによる不公平感を現実に感じている市民がいる以上、この市民感情をめぐる議論はあってしかるべきでは?という理由からの質問です。この質問をいましておかないと、今後またぞろ臨時給付金の話が国からやってきた際に、不公平感が募り、分断が深まるばかりだからです。









■せめて段階的にできないのか?→できません





 給付を受けられる・受けられないの差が、前回の昨年4月であれば0円か8万円か。今回は0円か10万円かとなります。児童一人当たりの給付なので、対象となるお子さんが3人いる世帯ならば、30万円となります。





 これに、「少しだけ給付を受けられる」世帯を新たにはさむことで、給付を受けられる・受けられないの差をよりなだらかにする案を問いました。





上地市長からは、「国の決めた対象範囲を越えて段階的に給付する場合すべて申請型となるので、検討した結果、実務的には可能ですが、かなりの事務量が発生し、当然給付に膨大な時間を要することになります」と、実質的に不可能との答弁でした。





■コロナ禍で高まった、現金給付という政策手段に関する実務的議論





今回に限らず、現金給付という政策手段については、「バラマキだ」という政治的批判もあれば、経済政策の側面からは貯蓄に回る非効率性の指摘、社会保障研究としては対象児童の両親の生活の充実度や心身の健康改善に役立つというプラスの効果など、議論が絶えません。特に、コロナ禍で高まったのは、現金給付の際に、プッシュ型、つまり「なにも手続きをしなくても対象の人にはお金がすぐに届く」仕組みが我が国は全然できていないことに対する批判でした。





 今回、事務費が発生する等の理由で段階的な給付はほぼ不可能との答弁でしたが、今後こうした不公平感が、技術の導入と普及によって、少しでも解消されることを目指したいと思いますし、何より政策選択にあたって、「それはどうあるべきか」の規範的議論も、めげずに問い直したいと思います。













――――以下、質問全文と答弁書きおこしを掲載します





■1 横須賀市一般会計補正予算(第1号) 子育て世帯生活支援特別給付金補正予算について





よこすか未来会議の加藤ゆうすけです。発言通告に従い市長に質問します。





 コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」として4月末閣議決定がなされ、「真に生活に困っている方々への支援措置の強化」として、低所得の子育て世帯に対する給付金として、児童一人当たり一律5万円のプッシュ型給付が打ち出され、このたび補正予算案として市議会に提出されました。今回の国の枠組みは、昨年実施された子育て世帯生活支援特別給付金と同じく、生活困窮者等への支援という枠組みにおいて予算化されるものと理解しています。





 また、前回同様、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、市単独事業として上乗せ給付がなされる内容となっています。前回と異なる点は、上乗せ給付額が、3万円から、5万円へと増額された点です。まずは生活困窮世帯に少しでも早く給付を行う意図に賛同するところです。その上で、その上乗せの方法について今後のためにいくつか確認のため質問したいと思います。





(1)給付を受けられない世帯の感じる不公平感に係る規範的議論を踏まえた今回の対応について





昨年4月の給付後、給付を受けられないものの、苦しい生活にある世帯からの声を耳にしました。行政の施策である以上、線引きはやむをえませんし、全てのかたに現金給付するのは財源を考えても非現実的ですが、線引きによる不公平感を現実に感じている市民がいる以上、この市民感情をめぐる議論はあってしかるべきと考えます。今回の市単独事業における上乗せは、2万円増額となっています。給付を受けられる世帯へは大変助けになる一方で、給付を受けられない世帯の不公平感が増すことも考えられます。これをめぐる規範的議論を踏まえ、どのような考え・判断をもとに今回の給付内容とするに至ったのか、市長に伺います。





(2)できる限り不公平感を減らし、段階的に給付する実務的方法について





 規範的議論の一方で、実務的方法をめぐる議論についても、質問します。できる限り不公平感をなくすようにする工夫の一つとしては、今回の市単独事業における上乗せ部分を、今回対象外とされる世帯への給付財源とする案があるかと思います。単純に言えば、給付を受けられる・受けられないの差が、前回の昨年4月であれば0円か8万円か。今回は0円か10万円かとなりますが、「少しだけ給付を受けられる」世帯を新たにはさむことで、給付を受けられる・受けられないの差をよりなだらかにする案です。当然、新たに発生する事務については、費用を伴うため、簡単に実現する案ではないかと思いますが、段階的に給付する方法は取れないのでしょうか?市長に伺います。





(3)今後、線引きをせざるを得ない給付の案が持ち上がった際に、必ず規範的議論・実務的方法の議論を行っていただけないか。





今回、いま上地市長に問いたいのは、現金給付という国の政策手段の是非ではありません。困っている市民に手を差し伸べようとする行政の意図は理解しており、だからこそ、より不公平感を生まない方法論に対する議論ができるのではないかと考えています。現在の物価の趨勢、ならびに国際情勢を考えれば、今後、同じような現金給付の議論がふたたび国から提示されることもありえます。その際、かならず、規範的議論、実務的方法の議論を経たうえで、案を議会にお示しいただけないでしょうか?市長に伺います。

2問目以降は一問一答形式で行います。





―――――





上地市長答弁





■1 横須賀市一般会計補正予算(第1号) 子育て世帯生活支援特別給付金補正予算について





(1)給付を受けられない世帯の感じる不公平感に係る規範的議論を踏まえた今回の対応について





●上地市長





まずこの問題をお答えする前に、この質疑はおそらく委員会マターであろうというふうにまず考えます。そのうえで、議論したいということなので、頭の部分だけXXX(※聞き取れず)お話させていただきます。





まず、今回の対応についてですどのような給付を取るにしろ、一定の線引きをする以上は、対象にならない世帯において不公平と感じるかたがいるのは仕方ないと思います。給付対象を広げることの議論は、確かにこれまでもありましたが、今回の厳しい状況の中で福祉の対象とならず、必死に子育てをしているかたへの配慮が必要なことは私も常に考え、頭を悩ませています。特に厳しい状況にある子育て世帯にスピード感をもって支給する必要があることから、国の制度をベースに、現下の経済状況に照らし検討した結果、苦渋の選択として、前回の3万円にさらに上乗せをすべきだと最終的に私が考えました。





(2)できる限り不公平感を減らし、段階的に給付する実務的方法について





●上地市長





今回の国の給付のうち、住民税非課税世帯は児童手当のデータを基に中学生以下はプッシュ型、高校生のみの世帯は申請により給付することとなります。国の決めた対象範囲を越えて段階的に給付する場合すべて申請型となるので、検討した結果、実務的には可能ですが、かなりの事務量が発生し、当然給付に膨大な時間を要することになります。





(3)今後、線引きをせざるを得ない給付の案が持ち上がった際に、必ず規範的議論・実務的方法の議論を行うことについて





●上地市長





先ほど申し上げたように、一時的な現金給付において対象範囲を拡大することには種々の問題があり、慎重に検討する必要があるとの結果になった。そこで、厳しい状況の中で、懸命に子育てをされている市民への支援策については、今後折に触れて検討していきたいと思います。





――――――





■一問一答形式部分 質疑





▽加藤





いくらあれば十分なのか、という議論に答えが無いですし、今回の基準でぎりぎり給付がうけられないひとり親世帯の生活も決して楽なものではないので、この点は上地市長も苦渋の決断があるとは思います。





しかしやはり、前回も給付が受けられず、今回も受けられず、しかも給付を受けられる人にはプラス2万円、ともなると、ぎりぎり給付がうけられないひとり親世帯としてはプラスアルファで悲しい気持ちになりますし、現実に生活は苦しいですし、それを市に訴える時間の余裕も気持ちの余裕もありません。





さらに、お子さん1人の世帯であれば、給付を受けられる・受けられないの差は10万円か0円か、となりますが、これがお子さん3人であれば、30万円か0円か、となり、その差はより大きく感じられます。





もちろん委員会で細かいところを問うことも必要だと思いますが、まず議論のおおもとに、市長がどう考えていらっしゃるのか議論のスタートとして聞きたいという意味で質問したので、こういった質問でも、委員会マターなのでしょうか。





●上地市長





その通りだと思いますが。





これは市長ではなくて、全体で我々が決定をしている話ですので、議会でもし反対されるなら反対される、もし新しい議論をして違う政策を求めたいというならば議会の皆さんで話をして、提案をされればいいので、これが二元制の最たるものであって、今お聞きしていると、何かそのプロセスにおいて陳情しているようにしかとれないので、少し考え方が違うのではないかということはお伝えしておきたいと思います。





▽加藤





ご答弁いただいた中で、事務費が対象拡大すると膨大になることはわかりましたし、給付に充てられるはずの財源が、事務費に費やされていくのももったいない話ですので、今の仕組を用いたうえで、少しでも多くの金額が、事務費ではなく、より困っている市民のかたの手元に届くのであれば、それはいいのかなとは思います。





ただ、不公平感を感じていらっしゃる方が市民の中にいらっしゃるという部分について、是非今後、不公平感を少しでもなくすべきではないかという規範的議論、もちろん、不公平感を少しでもなくすためにプッシュ型の給付の方法について国も考えていらっしゃると思うので、実務的方法の議論は成されていると思いますが、是非今後こういったものを踏まえてやっていただきたいと思います。





市の窓口あるいはコールセンターに、この不公平感の声がどれだけ届いているかは私は存じ上げませんが、私たちに届いた声を踏まえて、是非今後、お願いできないでしょうか。最後ご答弁いただいて終わります。









●上地市長





市のトップとして特段、そんなことはいつも考えていることなんですよ。当たり前の議論なんですよ。何をしなければならないか、常に頭の中にあるのであって、当然、だから、いい知恵が出ないから教えていただきたいくらいな話で、その議論をされればいいですよ、議会で。それで、提言をしてくれればいいんです。それで私はなるほどって。納得しますから。それを、そのプロセス、考え方までこうしてくださいっていうのは、私はそれは少なくとも、この市のトップとして、常に考えています。それだけはご理解ください。


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