2022年03月05日

【ジェンダー平等に向けて】(2022年3月定例議会 代表質問その5と、3月4日 生活環境常任委員会)





ジェンダー平等に向けた取り組みについて、代表質問の報告と、3月4日の生活環境常任委員会の報告です。





昨日のブログに記した通り、この4月から人権・男女共同参画課は「人権・ダイバーシティ推進課」へと名前を変え、市民部から市長直轄の市長室に移管されます。すべての施策にジェンダー平等の視点を入れるため、またとない機会ですし、そういった思いが市長部局にあるのではないかとの考えで、まずは代表質問で質疑しました。





―――――――質疑の引用――――――――――





5. 多様性





(1) ジェンダー平等の推進について





ア 部局再編に伴い、ジェンダー主流化の考えに基いた組織体制づくり・組織運営を進めていくことについて





▽加藤





続いて、多様性に関して順に伺います。ジェンダー主流化(Gender Mainstreaming)とは、政策決定過程やあらゆるレベルの政策及びシステムをジェンダー平等にするための政策理念を言います。この考えに基づき、我が国では内閣府男女共同参画局を中心に取り組みがなされ、本市では人権・男女共同参画課が担当課となっています。





いま改めて「すべての施策にジェンダー平等の視点を入れよう」と申し上げるのは、まさに大規模な部局改編を目前に控えているからであります。ジェンダー主流化を進めるためには、意思を持って、制度的保障を作る必要があり、そのためにはジェンダー主流化を主導する十分な制度的資源を確保することが決定的に重要です。行政内部における、ジェンダー平等政策所管課の位置づけ、人員規模、予算、所管の範囲をより引き上げることが重要です。そして、デジタル・ガバメントの推進のように、各部局の業務をつぶさに見て、ジェンダー平等ではない点を徹底的に洗い出すくらいの覚悟で取り組まない限り、ジェンダー主流化の実現は成しえません。そこで伺います。これまでも我が会派では、ジェンダー平等政策の推進のために、所管課の名称の変更なども提案してまいりましたが、この度の大幅な部局再編に際しまして、ジェンダー主流化の考えに基いた組織体制づくり・組織運営を進めていくことについて、現状と照らして、市長のお考えを伺います。





●上地市長





すべての政策やシステムに人権尊重やジェンダー平等の理念をつら抜くためには、まずは職員一人一人がその理念を理解し、つねに意識して行動することが必要であり重要と考えます。これまでも人権男女共同参画課を中心に取り組んできたが、これをさらに前に進めるために市長室に移管し、名称を人権・ダイバーシティ推進課に変更します。この人権・ダイバーシティ推進課が、人権尊重やジェンダー平等の理念について各部局が自ら確認できる指針の作成や、その指針を庁内に浸透させる役割を担い、改めて、職員一人一人が立案の段階からつねに人権尊重、ジェンダー平等の視点を持ち施策を展開できるよう中心となって取り組みます。





イ 日本のジェンダー平等政策を横須賀から前進させるための市役所組織におけるポジティブ・アクション導入について





▽加藤





そして、いまだ途上にあり、世界的には大きく立ち遅れた日本のジェンダー平等政策を、ここ横須賀から前進させるためにも、今一度、以前の代表質問でも問いました、ポジティブ・アクション、すなわち、社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対して、一定の範囲で特別の機会を提供することなどにより、実質的な機会均等を実現することを目的として講ずる措置の市役所組織における導入をご検討ください。ポジティブ・アクションに、デメリットなど存在しません。市長に伺います。





●上地市長





まず、あらゆる偏見や差別をなくすのは当然であり、個人の能力・努力によらない格差は絶対にあってはならないと考えています。議員ご提案のポジティブアクションに基づく取り組みについては、多様な人材の発想や能力を生かすことで、バランスの取れた質の高い市民サービスの提供に一定の効果があると私も考えています。均等な機会や待遇を確保するというポジティブアクションの考え方に基づいた措置の導入については、引き続き研究します。





ウ 特に、課長級以上の女性割合について、クオータ制を導入し課長級以上に女性が一人もいない部が無くなるよう取り組むことについて





▽加藤





特に、課長級以上の女性割合については、いまのまま続けていては、そもそもの管理職に多い年齢層の女性職員の数が少ない中では、十数年たっても女性割合は低いままとなってしまいます。クオータ制、すなわち課長級以上の女性割合の割り当てを導入し、年齢にかかわらず、がんばる女性職員が昇任するチャンスを増やすことも目指しつつ、課長級以上に女性が一人もいない部が無くなるよう、積極的に取り組んではいかがでしょうか。





●上地市長





ただいま答弁しましたポジティブアクション導入について、まずは課長級以上の女性比率向上の手法の一つとして研究していきたいと考えています。性別を問わず、やる気ある職員を積極的に登用することは当然であり、そういった職員が管理職として、政策方針決定過程で参加することは必須だと考えています。本市は「女性活躍・子育てサポートプラン」を作成し、令和7年度までに課長級以上に占める女性割合20%とする数値目標を掲げている。現在は9.9%にとどまっており、まずは目標達成のために、クオータ制を含むポジティブアクションの活用を含めた検討を行い、男女共同参画社会、女性活躍社会の実現に向けて取り組みを進めていきたいと考えています。





(2) 男性職員の育児休業について





▽加藤





続いて、男性職員の育児休業について伺います。2019年、わが会派最初の代表質問で伊関議員が本市職員の男性の育児休業の取得について問いました。その後、国会ではさらに議論が進み、2021年6月には改正育児・介護休業法が成立し、企業労働者の育児休業取得促進は、2022年4月から段階的にさらに積極的に取り組みがなされます。そうでもしなければ、一向に男性の育児休業取得が進まず、ジェンダー平等も進まないからです。





こうした状況を前に、本市も率先して、さらなる取り組みを進めていただきたいと思いますが、その後、男性職員が育児休業を取得しやすい環境整備・取得することが当たり前になる雰囲気づくりは進んだのでしょうか。伺います。





●上地市長





まず男性が育児が主体的に行うことは当然のことと強く思っています。この考えを基に、女性活躍・子育てサポートプランには、男性職員の育児休業取得率100%を目標として掲げました。実際に、平成26年度には1.5%であった取得率が、令和2年度に32.9%と確実に上昇しています。これは、男性が育児休業を取得しやすい環境整備や雰囲気づくりが進んだものと考えています。今後も、法改正の趣旨を踏まえ、取得率100%に向けた取り組みを積極的に進めていきます。





―――――質疑の引用終わり―――――





私が質問の中で「ポジティブ・アクションに、デメリットなどありません」とはっきり申し上げたのは、これまで「ポジティブアクションは職員のモチベーションにマイナスに働く懸念もある」といった答弁が返ってきていたからです。今回の答弁で、「デメリットもある」論については明確に否定されたと受け止めています。





 続く一問一答の中では、「デメリットもある」論が出てくるような背景には、市職員の無意識の偏見があるのではないですか?と少し粘り強く問いました。





――――――質疑の引用――――――――





▽加藤





続いて、多様性の質問にうつります。ジェンダー平等の推進がなぜ難しいのかといえば、職員は、なんとなくおかしいなと思っていても、言いだせないことにあります。そうすると、デジタルガバメントの推進のように、各部局にどんどん入り込んで、ジェンダー不平等を点検して指摘するぐらいのことをやらないと、進まないと思います。全部局のジェンダー不平等をすべて点検できるような予算をつけたり、附属機関による外部点検を入れたり、一回思い切ったことをやらないと、気づきが得られない、なかなか変わらないというのは、DX推進で市長もよくお感じになったと思います。この数十年、ジェンダー平等に向けて様々なことをやっていただいております。それでも変わらないのは、検討の段階を越えて実践に移らねばならないという思いもあって、きっと今回、人権・ジェンダー推進課へと名前を変えて、市長室直下に移動する判断を上地市長がされたのかなと考えているのですが、改めてこの名前を変えて市長室直下に移動して、といった意欲の背景について改めて伺ってよろしいですか。





●上地市長





意欲の背景といっても、やはり、人権、すべて人間は平等であるということは人類の普遍的なテーマであり。いろいろ言われているのでいろいろな時代背景があったのでしょう。今になってまだまだ理解できない人たちが少なからずいるのは事実ですよ。これは職員の中でもそう。世代論もあるし、それから感性ね、一番大きな感性・感受性。これはある教育を受けた方達からしたら理屈で言ってもわからない。これは仕方ない話で、どんな言葉で書いたとしても変わらなければならないといったって分からないものは分からない。頭では分かってもハートでは分からない。だから、具体的に踏み込むには直轄にして、この前お話ししたように人権というフィルターかけて政策施策作れるかを考えたい。そのために人権・ダイバーシティという名目で、ある意味当たり前なんだけど具体的に名前をあげて、人によく理解してもらう啓発をしなくてはいけないので、そういう意味で市長室にもってきた。なによりもこれから柔軟にやってかないといけない、重要なポイントだと思っています。





▽加藤





市長が積極的に重大な点であると捉えていただいていることは感じました。昨年は、ポジティブアクションは職員のモチベーションにマイナスに働く懸念もあるといったご答弁だったので残念に感じていたのですが、今回はそういったことはありませんでしたので良かったと思っています。これまで、こうした答弁をせざるを得なかった背景に今市長がおっしゃったように職員の中にも変わらない思いを持っている方がいらっしゃるとおっしゃっていた部分もありますが、この、ポジティブアクションについて、職員のモチベーションにマイナスに働く懸念もあるといったご答弁を今までされていた背景にはどのような理由があったのですか?





●上地市長





先ほどお話ししたように、ここ(頭)でわかってもここ(心)でわからないから。人間ってそうですよ。頭でわかってもここ(心)でわかんないのがいっぱいいるから。差別だとか人種差別だとかみんなそうじゃない。必ず、こうあるべきだといいながらマインドでわかっていないから。よく言うんだけど、多様性って果たしてどこまで誰が分かっているかって思うのね?多様性って頭でわかったとしても、自由で、私はもうほんと(答弁聞き取れず)何でも自由主義者だった。だから多様性当たり前なんだけれど、人々が多様性って、この人が本当に多様性ってわかっているのかって人いっぱいいるんですよ。世の中に。多様性って何でもありだから。同じように、そのように話をしてしまうと、わかっているようでわかっていないんじゃないかという話になったときに、詰めていっちゃうとマイナスになってっちゃうのではという懸念がある。だから今まで抑えてきたのは事実です。果たしてどこを切っても金太郎飴みたいな日本社会が本当に多様性わかるのかって、今でも疑問に思ってますよ。職員だけじゃなくて。それをどうやっていけばいいかを横須賀でやっていきたいから掲げただけで、それを職員だけに強制するのは難しい。これは一般市民だって同じだって思っているから。その意味で悩んでいる。





▽加藤





私も自由主義で多様性が大切だと思っているんですが、ジェンダー平等推進していくうえで、制度を変えて意識かえるお話を何度も市長と質疑させていただいたのはご記憶にあるかと思います。





ジェンダー平等の推進とは、ジェンダーにまつわる社会的な公正fairness justiceを確保しようとするもので、憲法第14条がある以上、法律上の平等は一定程度担保されていますから、課題の所在はほとんどが、法律で掲げることと現実の間、つまり社会的慣習や風土や慣行の次元にあると思うんです。





 ポジティブ・アクションは、歴史的に形成されてきた力関係の不平等に対し、一定の範囲で特別の機会を提供することでそれを是正することが目的なので、ポジティブアクションそのものが目的なのではなくて、それで課題を解決すること。誰かを特別扱いすること自体が目的なのではありません。つまり、ポジティブ・アクションを、「男性に対する差別だ」と捉えるのは、まったく論外であって、ポジティブ・アクションにはデメリットもあるよという捉え方自体に、そういった考え方に陥ってしまうこと自体に、おそらく市役所内でそういう考えをもし持っていらっしゃる方がいたら、総務・人事諸制度を形成する上での無意識の偏見が、市長のおっしゃるここ(頭)でわかっててここ(心)でわかっていないという、無意識の偏見が潜んでいるので、ぜひこの点は市長からも繰り返し伝えていただけないでしょうか?





●上地市長





そこが難しいんだよね。倫理とか道徳とか宗教観とか含めて、そういう問題に突き詰めないと答えは出てこないと思っているんですよ。みんな違う環境で育ち、年齢も違う時に、具体的にずーっといるわけじゃないから。ある事象にこれはこうだよ、って説明できない限り、その問題はたぶん解決しない。いろんなところでいろんな啓蒙してきたけれど、相変わらずいろんなところでもぐらたたきみたいなことを職員がやってかないといけない事実があると、本質的にわかるのは難しいのではないかと思うんですね。なので、ポジティブアクションよりも、市長室に持ってきたので、そのうえで、政策施策いろんな考え方を聞くから、その上でこうなんだよと具体的にやっていくしか方法はないと私は今でも思っています。





▽加藤





 具体の政策をやっていってここ(心)を変えていくというのも、市長の思いと、私の思いと、そう変わらないところだと思いますので、積極的にやっていただきたいと思います。





(2) 男性職員の育児休業について





▽加藤





2020年の上地市長のご答弁では、「男性職員自らが育児に参加する意義を含めて、啓発」するとおっしゃってましたので、その後の具体的な展開について伺いたいです。





●藤井総務部長





男性職員の育休だが、実際数字的にも、かなり休暇を含めて環境を整備してきたので、数字的にもあがってきている。とはいえ100%の目標を立てた中、今は30%なのでこれからも職員には数字的には足りていないのですけれど、所属の考え方や業務の分担を含めてですね、男性職員も育休をとりやすい環境整備を引き続き進めていきたいと思っております。





▽加藤





念のためですが、「女性活躍・子育てサポートプラン」で、「男性職員の育児休業取得促進に係るアンケート調査」の結果、50.7%が育休の所得意向があったのです。ではなぜ実際には、30%程度であり、希望者でも取得できなかった状況がまだあったのだと思うんですね。ぜひ積極的に背景を分析して、一足飛びに100%目指せるぐらいの勢いでとりくみませんか?





●藤井総務部長





なかなか一足飛びというのは難しいかとおもいますが、職員が1日や2日でも、休暇を含めた休業全体の制度を活用していくような働きかけをしていきたい。





―――――質疑引用終わりーーーーー





■委員会質疑では、昨年私が提案した点に前進がみられました





続く3月4日の生活環境常任委員会でも、人権・男女共同参画課の所管する予算議案部分について問いました。この中で、私が昨年「保育の現場に対するジェンダー平等に関する取組」について求めた点に対して、新年度事業の中で「②保育士向け男女共同参画と多様な性に関する研修会 3回」と新たな項目がみられる前進がありました。









―――――質疑の引用――――――





▽p24. 2 男女共同参画推進事業費





▽加藤





全施策に人権尊重、ジェンダー平等の理念を貫くために、人権・男女共同参画課は名称を人権・ダイバーシティ推進課に変更し、市長室に置かれることになり、ジェンダーの主流化に向けて横須賀再興プランのp.225にも「ジェンダーの主流化及び多様な性への理解の促進に向けての施策を総合的かつ計画的に推進します」とあって、大変期待しております。一方で、行政組織改正については直近で実施されたものなので、今回の予算案編成にあたって、新たに所管部局となる市長室との考え方の共有ができているのか、言い換えれば、市民部人権・男女共同参画課がジェンダーの主流化に向けて掲げた目標がどのように・どれだけ市長室と共有できているのかという部分、まず伺いたいと思います。





●市民部長





確かに組織改正は直近で行われた中で、我々も引き続き地域支援部で行うつもりの予算建てであることは否めないです。一方で、人権男女共同参画の考え方は、たとえ市長室であろうと、変わるところはないと思っております。基本的施策の中で動いておりますので、ここは、市長室にいったことで、より強力に、市内外で発信する理解を深めることを、市長の思いを中心とした、位置づけで、強い思いをだしていくという考え方であると認識しております。今後、市長室になり、新たな施策を打つことがあれば当然補正なりご審議いただくことがあるかもしれないですし、いまある考え方を徹底していくのだと今の状況では考えております。





▽加藤





もう少し具体的な話になりますが、今回の予算案が 2,819千円 で、令和3年度予算での 男女共同参画推進事業費 が 3,540千円 で、金額そのものは令和3年度は次期プラン策定の意識調査があるなどしたのでその分だけ多少おおきかったのかなとも感じますが、今回の予算案をみると、 ②保育士向け男女共同参画と多様な性に関する研修会 3回があります。





昨年6月定例議会で、保育の現場に対するジェンダー平等に関する取り組みをもう一歩いただきたいと私から質問いたしまして、課長から「まずは市立保育園の保育士に向けた研修を、研修内容も含めて、担当部局であるこども育成部と相談しながら考えていきたい」とご答弁いただいておりましたが、この今回の取り組みはその一歩前進と受け止めてよろしいのでしょうか?





●人権・男女共同参画課長





昨年委員会で委員からもご提案いただき、その後意見交換を保育課としました。やはり、ジェンダー形成の時期に保育士が深くかかわるということで、保育士のジェンダーに関する意識を高めることが必要だと、共通認識としました。その中で、来年度予算として研修実施として計上することになりました。





▽加藤





大変頼もしいです。市立保育園の保育士向け研修、というくくりでは、所管部局はこども育成部です。今回、市民部から市長室に移管されるにあたって、こうした「こども育成部と、保育士の研修について、しっかり連携する必要がありますよ」という部分は、これは市民部長に伺うことになりますが、ぜひ市長室長にちゃんとご認識をいただくよう、市民部長からも申し送りいただきたいのです。いかがでしょうか?





●市民部長





まず、この今の現状、人権男女共同参画課が抱えている悩みは共有したいと思っております。現状認識を踏まえて次のステップに動くのであって、まずはしっかり伝えたうえで、新たな課のメンバーがどうなるかはわかりませんが、今回予算計上の中で考えている方針はしっかり伝えて進めたいと考えております。





▽加藤





あと細かいようで重要な点なのかなとも思うのですが、課名は変わりますが、事業名は 男女共同参画推進事業費 です。こちらは、名称をやがて変える予定などあるのでしょうか?





●課長





予算策定の固まった後でしたので、これまでの事業費名ですが、来年度以降については、予算の名称変更についても考えていきたいです。





―――――――質疑の引用終わり――――――――


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