2021年09月04日

【障害者の高齢化について】(2021年9月定例議会 一般質問その3)(終)

9月定例議会、一般質問の報告その3です。(これでおしまい)





■障害者の高齢化





「障害者の高齢化」は、当選以来ずっと考え続けていたテーマでもありました。





今夏のパラリンピック開催で、障害と共に在りながら、弛まぬ努力で栄冠を勝ち取る選手の姿に心を揺さぶられたかたも多いかと思います。





しかし、身の回りに暮らす、障害と共に在るかたの困りごとについて、注目が集まる機会はあまりないのが現状です。





社会の少子高齢化が進むという事は、障害をもつかたも高齢化するという事であり、それはすなわち、障害を持つかたを支えるかたも、高齢化するという事でもあります。「障害者の高齢化」は人口構造とも密接に関連するテーマであり、先々のことを見据えつつ、現に目の前で困っているかたをいかに支えるかの答えが必要とされます。そのため、私の中でも、なかなか「こうあるべき」という案は、はっきりと示せずにいました。





今回の質問に当たって、同じ会派の小幡議員の力を借りながら、様々な障害福祉サービスに関わるかたのお話を伺うことができました。その中で、やはり、もともと障害をお持ちの方が高齢化するとどのような課題が生ずるのか、という点に関しては、横須賀市民全数に対して数としてはごく少数であるがゆえに、社会の中であまり顧みられることが無かった印象を抱きました。





関係するかたがたの懸命な取り組みに対し、その課題の解決に向けた順位を市役所の中で上げるための提案をすることが、今回の私の役割と思い、質問しました。





答弁としては、「議員のおっしゃる通り、新たな課題が生じている可能性があるので、施設等に積極的にヒアリングを行い、状況を把握したい」とあったので、これをきっかけに、解決に向けた動きが少しでも高まればと願っています。





――(本件については、以下に掲載する質疑の全文をご覧いただいた方がわかりやすいため、そのようにします)―――





■ 障害者の高齢化について 





(1)高齢の障害者が施設に入れず地域で取り残されるおそれがある現実の課題と解決方法について





▽加藤





続いて、障害者の高齢化について伺います。2018年4月「地域包括ケア強化法」が施行され、3年が経過しました。「地域包括ケアシステムの深化・推進」と「介護保険制度の持続可能性の確保」を柱とした同法では、高齢者と障害児・者が同一の事業所でサービスを受けやすくするため、介護保険と障害福祉両方の制度に新たに「共生型サービス」を位置付けたことが大きな点の一つでした。障害者の高齢化に対し、「地域生活への移行」を意識した政策が打ち出されています。ここで、「地域」とは何なのかを考えた際に、長く施設入所支援を受け生活してこられた障害者にとっては、施設が家そのものであり、「施設」は地域の一部です。一方で、入所施設に入ることができず、「地域」が支援するには難しく、今は一般家庭で保護者と共に暮らしているものの、保護者も障害者ご本人も高齢化し、将来に不安を抱えるかたの存在があります。





高齢の障害者が施設に入れず地域で取り残される恐れがある現実の課題を、どのように解決するか、市長のお考えを伺います。





●上地市長





自宅で生活されている高齢の障害者やそのご家族からの施設入所のご相談は、福祉の相談窓口ほっとかんで受けつけている。ご本人のご希望やお体の状況に応じて、電話・窓口・訪問によって特別養護老人ホームなどのご案内し、入所支援をおこなってきた。これまで施設入所がかなわなかった事例はないと聞いているが、今後も引き続き、障害者相談サポートセンターや、地域包括支援センターなど、地域の関係機関と連携しながら、高齢の障害者が施設入所の必要があるにもかかわらず入所できず地域に取り残されることの無いようにする。









(2)居住系サービス(障害者支援施設〈施設入所支援〉及びグループホーム<共同生活援助>)における65歳以上の障害者の暮らしの状況・課題の把握について





▽加藤





障害者の高齢化が進む中、介護保険優先原則はあるものの、介護保険サービスへの移行が現実的には難しい状況があります。本市内のグループホームに入居する65歳以上の障害者数は微増しています。障害者支援施設入所者も、1/4が65歳以上である状況が続いています。市内の障害者支援施設が設立された当初は、入所者はまだ若く、職員数も今ほどは必要ありませんでした。今や、65歳以上の障害者が増える中、施設に必要な機能も変わりつつあります。グループホームにおいても、服薬の手助けが重い負担になっているとも伺っています。障害者支援施設およびグループホームにおける65歳以上の障害者の暮らしの状況・課題を市は把握しているのでしょうか。市長に伺います。





●上地市長





障害者支援施設およびグループホームにおける65歳以上の障害者の暮らしの状況・課題については、障害者支援施設等から、本市の担当ケースワーカーを通じて把握している。障害者支援施設に入所している65歳以上のかたで、身体面などの機能低下が進んだ方は、特別養護老人ホーム等への入所もできるが、中にはご本人やご家族の希望によって、住み慣れた施設等での生活を望むケースもあると聞いている。また、そういったことにともない、議員のおっしゃる通り、新たな課題が生じている可能性があるので、施設等に積極的にヒアリングを行い、状況を把握したい。









(3)居住系サービスにおけるみとりの実態把握について





▽加藤





障害者支援施設も、グループホームも、元来看取りを目的として設立されてはいません。しかし、社会が高齢化する中で、実態としては、ターミナルケアを行い、臨終の瞬間を入所施設で迎える事例が数としては少ないながらも存在します。医療機関では医師・看護師複数名がチームでターミナルケアをするわけですが、これに対し、施設の場合は、主治医や施設と連携した医師の指示に従うことになりますが、看護師や生活支援員に障害者の特性を踏まえたターミナルケアのプレッシャーがのしかかる場合があります。また、グループホームでは、医療職ではない生活支援員が日常生活の支援を行っているため、さらなる大きなプレッシャーがかかります。積極的に看取りをすべきという議論ではなく、現に生じている課題に対して、市としても把握すべきと思います。そこで市長に伺います。障害者支援施設およびグループホームにおける看取りの実態把握については、本市はどのように行っているのでしょうか。





●上地市長





みとりについても、先ほどの65歳以上の障害者の暮らしの状況と同様の形で把握に努めている。住み慣れた施設等での終末期を迎えるケースもあり、障害者支援施設等の負担が増えているとの声もある。今後、さらに高齢化が進むことにより、施設等から様々な課題が提起されると思うが、丁寧に聞き取り、実態の把握に努めたい。









(4)居住系サービスにおける65歳以上の障害者の暮らしを支えるための支援について





▽加藤





以上、課題意識と実態把握の現状について質問しました。グループホームにおける服薬管理の難しさ、現に生じている障害者の終末期の生活の質を巡る課題など、障害者支援施設(施設入所支援)および共同生活援助(グループホーム)における、65歳以上の障害者の暮らしを支えるための日々の業務は、複雑さ・困難さをましつづけています。服薬管理や看取りへの加算、看取りをやむを得ず行うための様々な準備への研修、看取られる方の最期の瞬間の生活の質を豊かにするためのほんの少しの物品の購入支援等、支援策はさまざま考えられますが、本市としてのお考えを市長に伺います。 二問目以降は一問一答形式で行います。よろしくお願いします。





●上地市長





議員おっしゃる通り、障害者支援施設およびグループホームがみとりなど様々な課題を抱えていることを聞いている。更によくお話をきき、実態を把握したうえで、看取りを必要とする障害者を抱える施設にはどのようなことができるか検討したい。









(一問一答形式部分)





▽加藤





障害者の高齢化について。状況課題の把握はこれまでもやっていただいているし、これからもやってくれるということを答弁で確認できたので、ぜひやっていただきたい。障害者支援施設から、担当ケースワーカーを通じて把握をされているとのことだが、障害福祉関連団体との連携も進めてほしいと思うが、いかがですか。





●※植野福祉部長





関係団体からも、オフィシャルな会議の場を通じたり、年に数回私も直接団体の型とお会いしてお話を聞いて状況把握に努めている。今後も引き続き進めたい。





▽加藤





今回質問に至るまでに、様々なかたのお話を伺った中で、看取られる方の最期の瞬間の生活の質を豊かにするため、工夫を凝らしたというお話を伺いました。そのかたが好きなものを購入しそのかたのお部屋に並べてあげる、行事が大好きだったかたのために、おそらく病院であれば難しかったような行事に参加できるよう全力で支える、入浴が好きなかたに数人がかりで機械浴を提供するという、一つひとつとりあげれば、もしかしたらささやかなものかもしれませんが、長年その方のことを深く理解し、支援してきたかたがただからこそのご配慮がその場でされていたと、伺って感じました。もちろん、看取りの医療に関わる部分については根本的にありかたを考えねばなりませんが、こうした人生の最期の瞬間の生活の質を高めるための支援は、各障害者支援施設・グループホームの事例・ご意見を踏まえたうえで、まず踏み出しやすいのではないでしょうか?





●上地市長





ぜひ、有意義で、大切なことだと思いますので、踏み込んで検討させていただければと思う。















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