2021年05月28日

【高校生との対話・デジタル化人材・気候変動対策と経済の両立】(2021年5月18日 基本構想基本計画策定特別委員会)









 5月18、19日、基本構想基本計画策定特別委にて、現時点での計画案(たたき台と呼んでいます)について、関連部局の理事者にお集まりいただき、議論を深めました。





 2022年度から8カ年にわたる横須賀市の最上位計画ですから、どうしても総論的になりがちなところを、この8ヵ年だからこそ進めるべきポイントを盛り込めるよう、各委員から視点が示された回となりました。全員の視点を紹介するにはあまりに膨大なので、私が質疑したポイントを紹介します:









■アンケートに回答してくれた高校生には、パブコメでもお世話になったほうが良い!





今回の資料の一つとして市内の学校に通う高校生アンケートの結果が示されました。これ、かなり意外だったのが、約4,000名を対象にお願いしたところ、なんと回答者が 市内在住者657名:市外在住者635名=1292名で、市内:市外がほぼ半々だったことです。





つまり、「横須賀市民とは?」と考えたときに、少なくとも市内の高校に通っている高校生は、少なからず高校所在地である横須賀市のことについて関心を持ってくれており、アンケートに答えてくれたので、「横須賀市民」のくくりを広くとらえる必要がかなりあることを示していると感じました。関心が無ければ、返信してくれませんからね。





こうした経緯もあり、私からは、今年7月に実施予定の、本計画のパブリックコメント手続きにあたっては、今回アンケートに回答をくださった高校生にも必ずパブコメが開始したことを周知し、かつできれば、「自分たちの意見の、何が反映されて、何が反映されていないのか」をパブコメの際に確認してもらえるよう、各学校に交渉してほしいと、意見しました。









■デジタル化人材は「採用」に力を入れないと、もはや間に合わない





 横須賀市に限った話ではありませんが、「デジタルトランスフォーメーション(通称:DX。ディーエックス DはDigitalだとして、トランスフォーメーションは trans=cross=X となったようです)」の国の大号令の下、各自治体はデジタル化を進めようとはしているものの、課題は多い状況です。ワクチン予約接種を巡る各市町村の大混乱ぶりは、もちろん国が直前まで方針や情報を示さなかったり、様々な要因はあるものの、デジタル化を巡る自治体の状況の象徴のように皆さんの目にも映ったのではないでしょうか?





 本市も、様々な努力をしています。「デジタル・ガバメント推進室」が2020年度に新設され、横須賀市役所のデジタル政策推進の先導役として、様々な職員研修や業務プロセス改善に取り組んできました。





 一方、民間企業もデジタル化に向けた取り組みに必死です。そうなると、デジタル化人材の採用意欲も旺盛で、自治体がデジタル化人材を採用しようとしても、なかなかむずかしくなります。ましてや、少子化の時代です。今後しばらく、地方自治体の採用環境が厳しくなることはあっても、改善することはなかなか見込めません。だからこそ今、デジタル化人材の採用・育成に向けて、より強いメッセージを基本構想・基本計画に載せるべきではないか?と質問しました。これに対して、そこまで前のめりな姿勢を感じる答弁ではなかったと私は感じたので、今後も「デジタル化人材の採用・育成」については、追いかけていくつもりです。









■気候変動対策と経済の両立





 基本構想基本計画策定特別委員会が始まってから1年が経過しました。この一年間、世界の潮流は目まぐるしく変わりましたが、中でも最も変化が激しかったのは、気候変動対策を巡る領域だったのではないでしょうか?直近では、アメリカでバイデン政権が誕生したことで、世界中が一気に脱炭素へと舵を切る直接的なきっかけとなりましたが、当然地方自治体にも、その波は押し寄せています。





 横須賀市は、2021年1月29日に「ゼロカーボンシティ宣言」を出し、2050年までに二酸化炭素の排出量の実質ゼロを掲げました。https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/4110/ondanka/documents/yokosuka_zero-carboncity.pdf





 しかし、そのわずか3か月後、「2030年までに2013年度比46%削減」という目標が、菅首相のトップダウンによって打ち出されました。いまだ国から明確な”積み上げの議論”、すなわち、具体的に何をどう変えることで46%削減を目指す心づもりなのかは示されていませんが、2029年度までの8か年を対象とする横須賀市の基本構想・基本計画に大きく影響を及ぼすことは間違いありませんので、この点からも質疑しました。





 答弁としては、現在まさに横須賀市地球温暖化対策実行計画、ならびに環境基本計画の策定作業を同時並行で行っており、かつ国からの積み上げの議論がまだ示されてない中で、市として積み上げが現時点では難しいことが示されました。排出量削減に当たっては、産業部門との連携が欠かせませんので、市内事業者と前向きな議論・連携ができるよう、市には積極的に動いていただきたいと思います。









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以下に、上記に関する当日議論の詳細を掲載します:





■高校生アンケート





▽4 実施結果 の回答者数のところを見ると、市内在住者・市外在住者がほぼ半数ずつでかなり驚いている。回答を寄せるのは市内在住者の高校生が多いのかなと思っていたため、これだけのサンプル数でほぼ半々というのは、「横須賀市民」の捉え方を今一度考えねばならないと感じた。パブコメ手続きは市内在勤在学のかたも出せるが、パブコメ手続きが7月に始まることを、6月末の報道投げ込みの段階でお知らせできると思うので、今回アンケートを取った学校はもちろんのこと、広く市内教育機関、あるいは関東学院大学など本市と関連の深い教育機関にも周知いただきたいが、いかがか?





●都市戦略課長 





周知方法は、予告も含めて、どこまでの範囲でという可能化が今この場では確認できないが、ぜひ積極的に周知したい。





▽質問項目ごとの、全体的な傾向としての、代表的な属性の回答というのは、どのように集計したのか?選択式で、選択者数が多かったものを挙げているのか、それともある程度ばらつきがある中で、似たものをグルーピングしピックアップしたのか?





●基本的にはグルーピングしたもの。ワードをあつめて、より多かったところを表記した。それ以外のたくさん意見を書いていただいた部分もあるので、その部分は未来像の部分にかなり反映している。





▽たくさんいただいたご意見もある中で、今回たたき台に反映いただいた。「自分たちの意見が反映された」ということの報告は、パブコメの周知の段階できるとおもうが、やはり「反映されてどうだっか」を高校生から聞ければ今後の助けになる。同じ学校にアンケートをお願いし、「自分たちの考えた横須賀市の未来像が、本計画に反映されているかどうか」という観点で、もう一度質問をできるか?





●経営企画部長





まずパブコメの話をすると、特別委で配布した資料には(どの意見がどこに反映されたのかを)赤青緑で示しているが、パブコメ時点ではぜんぶ同じ色になる。そうすると、それを高校生が見て、「パブコメをどうぞ」と案内しても、自分の意見がどこに反映されているかわからなくなります。いまの委員のご提案を踏まえると、パブコメとは別の世界で、今この状態のものを、高校に結果として、お礼も兼ねておとどけし、その上で何か高校生からのお話をきくということについて、最初にアンケートをお願いした校長先生と、少しお話をしてみたいと思います。









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■デジタル化人材の採用・育成について





▽資料1-1 p52 の部分で、先進技術を活用した高効率で健全な行財政運営について触れています。いまより少ない職員でも、市民サービスの質を担保・向上するというところはこれまでこの特別委で話し合ってきたところですが、特に本市におけるデジタル・ガバメントを推進する人材政策に関連して少し伺う。以前から、関沢委員や本石委員が積極的に、かつて横須賀市の情報化先進自治体化に向けた推進力となったIT推進リーダー(電脳仕事人)の取組みを引用しつつ、質疑をしてくださっていますが、デジタルガバメント推進指針に記された、(4)デジタル・ガバメントを推進する職員の育成 の項と関連して、まずは本計画案の、市政運営の基本姿勢の書きぶりをご覧になって、デジタル・ガバメント推進室長に、所感を伺いたいです。





●デジタルガバメント推進室長





効率的行政運営に当たって、デジタルガバメント推進は欠かせない。いまなにをすべきか、抜本的な業務見直しが必要である。単なるデジタル技術導入ではなく、今あるものが正しいのではなく、どうすればもっと簡単になるかという意識の見直しが必要。そのための仕掛け作りも必要。まずは昨年度進めてきたBPR実践研修、ICT戦略専門官が実施しているプロマネの資格をとっていただき、徐々に人材育成のすそ野を広げている。研修で得た知識の横展開で、広がりが生まれる。この書きぶりと、まさに一致している。





▽改めて、所感を伺った理由は、やはり昨今のワクチン接種予約体制整備を巡る、各市町村の大混乱が念頭にある。これは決して、本市だけに限らず、全国的な課題だと認識していますが、最近の表現でいえばデジタルトランスフォーメーションのための人材が全国的に不足している中で、自治体としても、こうしたデジタル化人材戦略に関しては、かなり悩ましいところだと思うのです。





いま、研修等を行い、庁内で人材育成もしていらっしゃるし、どちらかといえばこの20年間、NPM、PPPなど、民間との協業や民間手法の導入により、行政運営は改善への取り組みがなされてきた雰囲気が強いのだと思うが、ここへきて、全国の自治体が一斉にデジタル化に向けて動いたときに、これだけの大混乱が起きたというのは、ある意味では自治体のデジタル化戦略が試されている。





具体的に申し上げれば、ベンダー側が提示する内容について、自治体側の職員でその有用性、どのようなところが市民の役に立つか、何がボトルネックになるか、良し悪しを判断できなければ、住民にとって最適なサービスやシステムの導入はできないという事を考えれば、デジタル化人材の内製化・つまり、根気強く採用する・育成する大きな方向性へと書きぶりを強めた方がいいのではないかということなのです。この点いかがですか。





●デジガバ推進室長





コロナ禍での全国的混乱は、市民にとっても身に染みる思いだと思っている。ただこれはデジタルツールだけではない部分。既存の予約システムは多くの自治体がLINEを通じたサービスをつかっている。その具体的システム内容は承知をしていないが、多くのアクセスが生じたことでシステムが提示したのかは痛ましいが、デジタル人材ではなくて、どうしたら業務がうまく進むか、市民が安心して混乱せずにワクチン予約できるようになるかは、まさしく業務プロセスの部分の話で、システムの育成?の話ではない。あくまでもシステムは道具の一つ。市の仕事がよりスムーズに進むという考え方、それがこれからの横須賀のデジタル世代、次の世代に力をつけてほしい部分の職員の意識・テクニックを植え付ける人材育成をすべきだと思っている。





▽今度は総務部人事課に伺う形となるのだが、現在、人材育成基本方針があって、具体的な取り組み姿勢として人材育成プランが2019年度から2021年度までの3か年プランであって、今回の基本構想基本計画での議論を踏まえて、人材育成基本方針は見直されると思う。行政ニーズが一層高度化、複雑化する中で、かつコロナ禍の財政的ダメージを深く負った状態での8か年を見据えた人材育成の方針ですから、やはりこれまでとはまるで違う状況の中、対応せねばならないことはまず前提としてある。





 ここで、デジタル化人材の話に戻ってくるわけですが、そういう厳しい状況の中、逆に民間ではデジタルトランスフォーメーションという国の大号令の下、デジタル関連企業では旺盛な採用意欲があり、相対的に官公庁はデジタル改革を志向するような人材の確保に、新卒であれ中途であれ、確実に苦戦するはずなのです。だからこそ、デジタル改革の推進に向けてご自身の能力を活かしたいと考えるかたに、本市ならば活躍できるはずだ、自治体でもそういう能力を活かせる、と思ってもらえるような、本計画の書きぶり、そして人材育成基本方針、人材育成プランという個別計画への反映が必要だと思うのですが、いかがでしょうか?





●人材育成担当課長





この中の文章は非常に短く、端的で、私としてはよくできていると思っています。これからやらねばならないとは非常にわかってきていると思います。特に、変化を恐れぬスピード集団という事で、個々の力だけではなく、横須賀市と言う組織の、集団の力をデジタル等をつかい、極力強力化?することもあらわれている。内容を受けて、人材育成プランも策定し、より強力に進めたい。









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■7.産業振興 環境と経済





▽特別委が始まって1年、世界・国・社会でものすごく変化した部分は「環境」に関する部分。「環境」はこの後詳しく議論するが、ここでは産業振興に関連する視点から伺う。世界各国がコロナ禍からの経済復興に際して、Green recoveryという表現で、脱炭素で、持続可能な社会と経済を再構築する必要性を盛んに説いている。経済政策については、外部性が大きすぎるので、市単位では難しいことも多く、実質的には国の法改正などによるところが大きいと思うが、環境視点を考慮した経済産業のありかたについての視点についてはいかがか。





●経済企画課長





脱炭素ということば。我々の中で「低炭素」だったのが、もっと進んでいくことになっている。ゼロカーボンと言う言葉も出ている。それをキーワードに産業を考えねばならない認識は改めて持っている。振り返ると、自動車産業においても、電気自動車の推進を進めているが、では水素はどうなんだと、そういった部分について十年後をみると、しっかり考えねばならない。ただ、先ほどの通り、国や世界の動向があるので、市内研究機関とともにとりくむなど、知恵を借りながら、あたらしい技術があるのであれば、横須賀の根ざすところに取り組むことが、中小企業の多い本市では大切なのではないかと考えている。





▽難しいが、重要なテーマ。基本的に、CO2の排出削減には、(1)エネルギーの脱炭素化 (2)エネルギー効率の向上 (3)一人当たりGDPを下げてしまう (4)人口減少 という4つの変数が関わってくる。このうち、(3)(4)は目指すべき方向性ではないし、必然的に(1)と(2)を目指すことになる。その中でも、やはり経済部としては、各企業のエネルギー効率の向上、というところは本計画の期間に大いに関係するところだろ思うので、産業振興の観点で、温暖化対策の視点を絡めて意見を伺いたい。





●経済部長 ただ今の委員の指摘はもっともである。環境政策部と情報共有し、経済に対しどのように支援策をできるのか検討しながら、実施計画にも反映できれば取り組みたい。









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■10 環境





▽特別委員会を組織し、議論してきたこの1年間の中で、環境を巡る議論は、国際的にも、国内的にも、人々の意識の変化や大きな社会の動きが生じている分野だと思う。とりわけ、国内的に言えば、4月22日に首相が示した、2030年度の排出量を2013年度比で46%削減するとの目標引き上げ発表は、きわめて大きな衝撃をもって受け止められた。この発表は、もちろん本計画にも大きく影響するもので、目線を大きく引き上げる必要があるが、現時点で、率直に、変更すべき点はあるか。





●環境企画課長





確かに、国も46%削減で首相表明した。市は、現在温暖化対策実行計画・環境基本計画を策定するため、審議会にかけている。4月末の分科会で、40%削減(2030年度)の案で提案している。現時点で、国の46%削減の根拠がわからない。どのくらい減らせるか、積み上げが必要。産業部門・家庭部門・運輸部門など、様々な上げ下げで、きまっていく。国の根拠が出た時点で、市としてもどのくらい減らせる余地があるのかなどを検討したい。





▽おっしゃられた通り、国から積み上げの議論が今後出てくるので、市町村としてはもどかしい。かつ、どっかの地域で排出されなくなっても、どこかの地域で代わりに工場が立って排出されてしまえば意味がないという負の外部性がある。ただ、先に申し上げた4月22日の2030年度の46%目標というのがあまりにインパクトがあるので、「2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指し」のところは(ゼロカーボン宣言を踏まえてその通りなのだが)、今回の計画期間においては、この2030年度時点の目標というのも記述する必要があるのではないか。





▽環境政策部長





地球温暖化の目標値は、まずは2050年実質ゼロという政府の昨年度末発表が根底にある。これはこの委員会でのバックキャストと同じで、そこを目指して何ができるかの積み上げをする。ここに2030年をどれくらい書けるのかは、温暖化対策実行計画を検討している中では、環境審議会では9月答申をめざしてやっている状況の中で、どういうタイミングで載せられるかは、今は見えていない状況。今後の進捗状況によっては、書き入れられる可能性もあるし、間に合わない可能性もある。





▽もちろん積み上げの議論は大事だと認識している。自分事にするのは大事。家庭部門の排出量削減も大事。しかし、あまりに大きい目線の引き上げなので、これは事業所・産業部門との連携が欠かせない。連携に当たっては、温室効果ガスへの対策が企業の負担になるのではなく、経済的にも市内事業者の追い風に、前向きな議論となるよう、連携を深めてほしい。





●環境政策部長





わたくしども市役所も、事業所の一つ。これは、市民の皆さんに向けて、市役所という事業所が頑張る姿も見せねばならない。これも併せて温暖化対策実行計画内に盛り込んでいきたい。


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