2019年12月07日

【災害時の支援ニーズ把握には、積極的に取り組んでくれます】(2019年12月定例議会本会議 一般質問より)

【災害時の支援ニーズ把握には、積極的に取り組んでくれます】(2019年12月定例議会本会議 一般質問より)


一般質問の報告その2です。

2つ目のテーマは、「災害対応について」です。



今回の一般質問では、16人中7人の議員が、災害に関連する何らかの質疑を交わしました。台風15号および19号の記憶がまだ新しい中、災害に対しどのように向き合うかは、日本中に突き付けられたテーマでもあります。



私は主に「災害時に避難が難しい要援護者の支援」「災害時ボランティアセンターの運営」「復旧復興での大学(大学生)との連携」という視点で質疑し、



大きくは、

・平常時と災害時は要援護者名簿の取り扱いは異なるので、どの団体に提供すると有効に機能するか見極めたいです。

・災害時の支援ニーズ把握は、ニーズが届くのを待っているだけではなく、積極的にニーズを把握しにいきます。

・大学との連携はまだそこまで突っ込んだ話はしていないので、今後連携を深めていければと思います。



という答弁をもらいました。



以下、質疑のやりとりを記します:



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■2 災害対応について


(1) 2009 年に作成された「災害時要援護者支援プラン」「災害時要援護者支援マニュアル」の見直しの是非について

  • 市長 プランについて、私の思いを述べる。まず、機能の質問にお答えしたことと重複するが、まずは自分の命を守ること。自分一人ではかなわないこともある。一本で折れてしまうものも、三本集まれは折れないように、家族や、向こう三軒両隣という支えあい助け合い。しかし、人口構成の変化、一人暮らし高齢者の増加、地域コミュニティの希薄化の進展により、国は災害対策基本法の改正までした。しかし、これで個別計画作成までできている地域は少数で、法が掲げる制度の理想、具体的には、要援護者一人一人に支援者をマッチングさせるハードルが高すぎる。法に基づく制度だからと固執せず、どうすれば現実的な対応ができるか柔軟な対策を考えるべきだと思っている。民生委員、消防団に加え、災害時を想定し地区割された建設業がいる。地域で暮らす職員がいる。これらを、行政センターや、コミュセンを軸に、災害時に支えあう仕組みを再構築することが私の考え。




(2) 災害時、要援護者が、より確実に支援につながる可能性を高めるためのさらなる対策について

(3) 要援護者名簿を市内の社会福祉団体に発災後手渡すことについて

  • 市長 法においても、要援護者の同意を不要とするなど、災害時と平時の取り扱いは違う。命を守るために作成している名簿なので、どの機関に提供すると有効に機能するか、見極めて提供したい。




(4) 災害後、災害時ボランティアセンターを開設する際、運営に市職員を確実に充て、支援ニーズを市が積極的に把握しにいくことについて

  • 市長 ご指摘の通り、これまでの災ボラにおけるニーズ把握は、ニーズの声が届くことを前提としている。しかし、最近の被災地の状況から、ニーズの声を届けられない方も少なくないと思うので、積極的に把握しに行く姿勢は重要である。先ほど答えた通り、行政センター、コミュセンを軸に、町内会・民生委員・消防団・建設業・地域で暮らす市職員などの地域資源で対応するので、支援ニーズも、この仕組みの中で把握したい




(5) 大規模災害からの復興のため、市内及び近隣の大学と連携することの必要性について

●市長 県立保健福祉大学や関東学院大学とは包括連携協定を結んでいる。現時点では、災害時に、双方で助け合うことの意思確認をしておくことが、現時点では適当だと考えている。




【災害対応について 関連部分 2問目】





■2-① 「支援プラン」「支援マニュアル」の見直し


▽加藤 昨日以来、災害対応に関連する質疑が交わされている。ここでは要援護者について議論する。答弁で、行政センター・コミュセンを軸に再構築していくとあったが、今後、より、地域で対応する側面が強まるとの理解でよいですか。

  • 市長 その通りです。




▽加藤 地域で対応するという点を考えていくならば、地域には、震災時避難所があるが、場所によっては、その後に福祉避難所が開設される可能性がある箇所が含まれる地域もあります。「支援プラン」の見直しにあたって、見直しを検討いただきたい具体的な点として一例をあげるならば、福祉避難所のありかた・そして要援護者の避難手順が私の中にあり、質疑をしています。今年3月定例議会での市長答弁で、「支援が必要な方についても、災害発生直後は、まずは身近な場所にある小・中学校などの避難所に避難していただいて、その後、保健師による優先順位等の判断を経て、二次、三次避難所へ避難していただくことが最適であるのではないかと」といただいていますが、このお考えに現在も変化はありませんか。

  • 市長 変わりありません。




▽加藤 そのうえで、地域によっては、福祉避難所の開設が予定される箇所も含まれるわけですが、三次福祉避難所で、名称が明示・公表されているのは、1か所のみです。受け入れ態勢が整わないうちに三次福祉避難所に避難者があふれかえる事態を懸念するのは理解できますが、それでも、例えばある要援護者が、自宅が全壊し、震災時避難所へ避難せざるを得ないけれども、その途上には三次福祉避難所がある、これは公表されていないので、そのかたは分かりえないが。こうなった際に、発災直後の移動に伴うリスクと、発災直後に震災時避難所ではなく直接三次福祉避難所へ向かうことで生じるリスクを比べたら、それは、家から近くて専門家がいるところに行けた方が、ご本人も安心だと思うんです。こうした点踏まえて、「支援プラン」の見直し、いかがでしょうか。

  • 市長室長


かなり個別具体の話だと思うのですが、そもそもの話として、三次福祉避難所の名前を公表していないのは、今議員おっしゃられた通り、そこがどれだけ被災しているかその場にならないとわからないので、その場所に行きさえすれば安心と思ってしまうのが危険だという話。議員のご質問は、避難の途上、見たところ大丈夫そうだから飛び込んだという話ならば、我々から施設側にお願いしていることは、来たかたを拒まないでください、そこで入れるの入れないのという押し問答をしている時間がもったいないので、いったんは受けとめていただいて、施設のキャパからあと数日は対応できないから、一次福祉避難所なりなんなり戻ってくださいという話をしてくださいとお願いしている。そのような運用実態を考えると、あらかじめ要援護者支援プランの個別支援プランに個別具体的なことを書いておくのはあまり現実的ではない。かなりケースバイケースのはなしになるので、私たちの想定する個別計画はやはりシンプルに、このかたは、普段こんなサービスを使っているから、援助者はこんなかたで、まず一時福祉避難所は●●小学校、のようなかたちが適切ではないかと考えています。


■2-③ 要援護者名簿


▽加藤 地域で共生するという大きな流れがあって、地域でも障害に対する理解を進めましょう、というのは当然推進していると感じます。ただ、その流れがあったとしても、なかなか理解が進まない現状もあって、障害をお持ちの方はそこに不安を感じているとも思う。先日、私の住んでいる地域の避難所開設訓練に出た際も、障害をお持ちの方への説明の仕方や、避難所運営委員会を自治会町内会の皆様が運営する中で理解を深めておくべき障害に関する情報の共有も、まだまだ努力しなければならない側面があると感じました。要援護者とパッと聞くと障害をお持ちの方が思い浮かぶことが多いと思うが、これだけ高齢化が進むと、かなりの高齢で、避難所までの移動が困難なかたも多数いらっしゃいます。そうなると、やはり、日頃福祉サービスを提供している社会福祉団体が、要援護者名簿を保有することは、非常時においては、障害者、一人暮らし高齢者など、要援護者の安心につながると思いますが、いかがでしょうか。

  • 市長 一問目にお答えした通り、そうだと思います。






▽加藤 要援護者名簿の平時と非常時の取り扱いは違う、非常時には柔軟に取り扱うことは先ほど伺った。要援護者名簿の取り扱いについて、障害にせよ、高齢にせよ、市内で福祉サービスを提供する社会福祉団体とも、積極的に要援護者名簿の取り扱いに関する意見交換の場を積極的に設けてはどうかと思いますが、いかがですか?

  • 市長 これから積極的に検討していきたいと思います。



■2-④、⑤ 災ボラでのニーズ把握


▽加藤 積極的に支援ニーズを把握しに姿勢に関する市長の前向きな答弁に心強い思いです。支援ニーズの的確な把握は、本当に難しいんです。私個人の話をすれば、震災後の福島県に4年半住んで復興支援をやっていたり、岡山の水害の際は総社市の支援現場にいったり、そして今年の豪雨により中通りがまた被災したので伊達市に行ったり、随所で支援ニーズの把握を進めるかたの様子をみたり、あるいは自身がその立場になったわけですが、何を一般ボランティアによる支援で対応すべきニーズとし、何を市が本来業務で取り組むべきニーズとするか、こうした判断は、本当に難しい。だからこそ、支援ニーズの的確な把握のためには、先ほど、行政センター・コミュセンを軸にと答弁あり、積極的にやってくださるとは思いますが、災ボラに市が積極的に関与すること、特に人員面はこの中に積極的に入っていくこと、いかがでしょうか。

  • 市長 現実的にはそうならざるを得ないだろうと思っている。現実は計画通りにはいかない。だからこそ、市職員も入る新しい枠組みも作り、災ボラもあってという、大きな枠組みの中でなければ、緊急時には成り立たない。相互交換、計画でなくても、協力しなければならない。現実はもっと大変だと思っています。それは、そもそもやりたいと思っています。




▽加藤 そのうえで、一点追加で。市長が支持をなさる際は、非常事態に腰を据えてニーズ把握するようにとご指示されると思いますが、支援ニーズを把握する現場は日々混乱の中動くが、その中でも変わらず、同じ職員の方が。その情報を把握していき、支援ニーズを、それが一般ボランティアなのか、市がやるべきニーズなのか、市がやるべきものであればそれをしっかり市に届ける。充てる市職員は、毎日入れ替わるのではなく、きちんと腰を据えてという部分、いかがでしょうか。

  • 市長 それは難しい問題で、そういう人材なのかという問題もある。理想はそうだが、できればそうしたいが、果たしてその現実ができるのかどうか。できる限り努めたい。誰を充てる、ということは、現実にはできないのではないかと思っています。



■2-⑥ 大学との連携


▽加藤 包括連携協定を結んでいる大学はありますし、その中で、相互の助け合いをというのは理解できました。大学との連携は、災害直後にとどまらない、中長期的な支援ニーズの的確な把握・対応にも大いに効果をもたらします。一問目の事例でも挙げたが、福島大学では、「いるだけ支援」として、大学生が仮設住宅の一室に入居し、住民と親睦を深める中で漏れ聞こえてくる、声に出せないニーズの把握に努めていた事例があった。本市についていえば、特に、県立保健福祉大学であれば、福祉学を学ぶ学生が多く、支援においての福祉的配慮にも長けていると考えられますし、福祉を専門とする研究者、あるいは大学生の持つ知見や対応力を本市のために役立てていただき、そして市に大学から支援ニーズが寄せられたらそれにもこたえる、これらを見据えた、大学との連携について、改めていかがでしょうか。

●市長 さすが加藤議員で、様々な災害現場に行って、現実をよく見てらっしゃって、その思いをよく理解されている。今みたいなところまでつっこんだ話は実はまだしていないので、おっしゃることはよくわかりますので、これからもそういう連携を、まずは色々な話をしながれ連携を深めていきたいと思います。



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■支援ニーズ把握は、本当に難しい


これは、私が福島での復興支援4年半で、一番痛感したことでもあります。



顕在化している支援ニーズだけが、対応すべきニーズであるはずがなく、苦しむ本人が声をあげられていないけれど、緊急性が高い支援ニーズというのは、災害からの復興過程では、山ほどありました。



当然、本人が声をあげられなければ、支援ニーズを探しに行く、すなわちアウトリーチが必要になるわけですが、今想定されている災害時ボランティアセンターでは、人員数的にも、想定される体制的にも、その部分があまり見えてこず、以下のように質問しました。



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▽加藤 「設置運営マニュアル」には、災ボラ組織体制と必要スタッフ数が定められています。センター長を筆頭に、総務班5名・情報班10名・ボランティア対応班50名の3組織が連なります。当然、市社協の常勤職員数を大きく上回っています。応援スタッフが充てられることにはなっていますが、本当に足りるのだろうか、と懸念をしています。



その理由は、災ボラ運営において、ニーズ把握が何よりも重要だからです。「設置運営マニュアル」によれば、災ボラにはボランティア対応班が置かれ、ニーズ係は20名と定められ、被災者ニーズ件数は一日に200件と想定されています。



確かに、災ボラに自ら届けられるニーズには対応できるかもしれません。しかしながら、発災後、真に深刻なニーズを抱える被災者は、自ら声をあげられません。状況が深刻だからです。災ボラに「届く」ニーズへの対応は想定されているものの、支援ニーズを「積極的に把握しにいくこと」、アウトリーチの視点が、さらに強く必要なのではないか、と懸念しています。災害直後の混乱期を経て、復旧のためいよいよ災ボラを開設する際、その運営に市職員を確実に充て、支援ニーズを市が積極的に把握しにいく必要があると思いますが、市長の考えを伺います



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そして、市長から、この部分について一問目では、以下の通り答弁がありました。



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●市長 ご指摘の通り、これまでの災ボラにおけるニーズ把握は、ニーズの声が届くことを前提としている。しかし、最近の被災地の状況から、ニーズの声を届けられない方も少なくないと思うので、積極的に把握しに行く姿勢は重要である。先ほど答えた通り、行政センター、コミュセンを軸に、町内会・民生委員・消防団・建設業・地域で暮らす市職員などの地域資源で対応するので、支援ニーズも、この仕組みの中で把握したい





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ただ、これだけだと、「市職員がしっかり、市が対応すべきニーズを把握する」ところが、はっきりとは読み取れないので、繰り返しになりますが、2問目で以下の質疑をしました。





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▽加藤 積極的に支援ニーズを把握しに姿勢に関する市長の前向きな答弁に心強い思いです。支援ニーズの的確な把握は、本当に難しいんです。私個人の話をすれば、震災後の福島県に4年半住んで復興支援をやっていたり、岡山の水害の際は総社市の支援現場にいったり、そして今年の豪雨により中通りがまた被災したので伊達市に行ったり、随所で支援ニーズの把握を進めるかたの様子をみたり、あるいは自身がその立場になったわけですが、何を一般ボランティアによる支援で対応すべきニーズとし、何を市が本来業務で取り組むべきニーズとするか、こうした判断は、本当に難しい。だからこそ、支援ニーズの的確な把握のためには、先ほど、行政センター・コミュセンを軸にと答弁あり、積極的にやってくださるとは思いますが、災ボラに市が積極的に関与すること、特に人員面はこの中に積極的に入っていくこと、いかがでしょうか。



●市長 現実的にはそうならざるを得ないだろうと思っている。現実は計画通りにはいかない。だからこそ、市職員も入る新しい枠組みも作り、災ボラもあってという、大きな枠組みの中でなければ、緊急時には成り立たない。相互交換、計画でなくても、協力しなければならない。現実はもっと大変だと思っています。それは、そもそもやりたいと思っています。



▽加藤 そのうえで、一点追加で。市長が支持をなさる際は、非常事態に腰を据えてニーズ把握するようにとご指示されると思いますが、支援ニーズを把握する現場は日々混乱の中動くが、その中でも変わらず、同じ職員の方が。その情報を把握していき、支援ニーズを、それが一般ボランティアなのか、市がやるべきニーズなのか、市がやるべきものであればそれをしっかり市に届ける。充てる市職員は、毎日入れ替わるのではなく、きちんと腰を据えてという部分、いかがでしょうか



●市長 それは難しい問題で、そういう人材なのかという問題もある。理想はそうだが、できればそうしたいが、果たしてその現実ができるのかどうか。できる限り努めたい。誰を充てる、ということは、現実にはできないのではないかと思っています。



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ということで、災害時の支援ニーズ把握には、積極的に取り組んでくれるというところはしっかり確認できたものの、市職員を確実に充て、市が対応すべき支援ニーズを的確に把握していくことに関しては、今後も研究が必要かな、という感触でした。





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■今回の質疑の準備にあたって踏まえたあれこれ


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(写真1 2018年 岡山県倉敷市真備町 西日本豪雨水害後の、小規模多機能型居宅支援事業所の清掃ボランティアで入りました。この時は、発災3週間後にまずニーズ把握に訪問し、発災5週間後にボランティアに入りました。隣り合った総社市が日頃から連携を結んでいた国際協力NGOが、機動力をいかんなく発揮し、市と連携して支援ニーズの的確な把握につとめており、隣市である倉敷市真備町からの避難者に対しても速やかな対応ができていました)

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(写真2 2019年11月 横須賀市災害時ボランティアセンター設置運営訓練に参加しました。毎年、市・市社協・市災害ボランティアネットワークの3者がこのような訓練を行っており、災害時にどのように一般ボランティアを受け入れるか、検討を繰り返してくれています)



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(写真3 2019年10月 自分の住む町内会の震災時避難所設置運営訓練の様子です。障害を抱えた方と、その介助にあたるかたも多数ご参加いただいています)



20130202_第2回かけはし鹿島 20140920_浪江町 20150415_浪江町請戸小学校外観

(写真4 バスの写真は、2013年2月、福島県南相馬市鹿島区の現状を知っていただくため、開催した現地視察ツアーの際のものです。写真5・6は、それぞれ2014年、2015年の福島県双葉郡浪江町の写真です。震災からの時間の経過とともに、支援ニーズも大きく移り変わっていったことを、写真を見るたびに思い出します。)

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