2019年05月27日

【学びは科学で進化する】三浦学苑高等学校で行われた「認知脳科学に基づくEdTechの実証実験」におけるデモ授業

【学びは科学で進化する】


ヘッドギアを付けて授業を受ける写真が最高にサイバーパンクな雰囲気ですが、5月27日に三浦学苑高等学校で行われた「認知脳科学に基づくEdTechの実証実験」におけるデモ授業の様子です。

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人間の認知的活動の研究で著名な開一夫教授(東京大学大学院総合文化研究科)が、三浦学苑高等学校を実証実験協力校として、EdTechと認知科学を融合させた学習支援技術の実験に着手しました。



「加藤ゆうすけがまた難しいこと言ってる」とお感じになるかもしれませんが、簡単に申し上げると、「授業中の脳の活動を見ながら、生徒の状態に合わせた授業を先生が行えるようにするための実験」です。なお、EdTechとは「教育におけるAI、ビッグデータ等の様々な新しいテクノロジーを活用したあらゆる取組」を指します。



開先生もおっしゃってましたが、「実際の通年授業で実証実験を行うのは日本初で、おそらく世界でもそうは無い」取り組みということもあり、記者会見には10社以上のマスメディアが来ていました。

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■ねらいは、「先生が授業しやすくすること」


生徒と先生が装着しているのは、株式会社NeUのHOT-2000という携帯型脳活動計測装置です。人間の脳活動を調べるためには、被験者をおっきな装置に閉じ込めたり電極をぺたぺたつないだりするイメージがあると思いますが、この装置は、ただかぶるだけでした。近赤外分光法(NIRS)と呼ばれる方法で脳の血流変化を測定し、内蔵された6軸加速度センサーが頭部の動きも測定し、さらに脈拍が…と詳しく書くとキリがないのですが、またまた簡単に申し上げると、「目の前の生徒があたま使ってるかどうか、先生がその場で知ることができる」装置です(医学、工学系のかたごめんなさい)。



この研究は、これまで先生の経験知に大きく依存していた「授業中の生徒への声掛けの方法やタイミング」を、誰でも出来る化しうる可能性を秘めた一歩だと感じました。デモ授業後の質疑で野櫻先生(デモ授業を行っている先生)がおっしゃっていたことなのですが、この実証実験を通じて既に、「よくあるアクティブラーニング的な、はい隣の人とディスカッションして~というやつをやっても、みんなの脳がしっかり使われているわけではないことが、今回の実証実験クラスの特徴としてわかった」そうです。どうやらこのクラスには、自分一人で論理立てて検討している時に最も脳を活動させる子のほうが多そうだと。



それがわかると、先生も、「このクラスはじっくり自分で考えたいタイプが多いみたいだからディスカッションの時間は少なめにしよう」と方針立てしたり、逆に、「このクラス、じっくり考えるタイプ多いけど、君はディスカッションでどんどん学びが深まるから、ガンガンやっちゃってよ」などと声掛けができる。「教え方を一人ひとりに合わせて変えるのではなく、声掛けの仕方を変えること」が出来るようになります。



■参考

株式会社NeU HOT-2000 計測の原理 https://neu-brains.co.jp/service/equipments/hot-2000/

EdTechについてはこちら↓

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/002/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/06/20/1406021_18.pdf

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