2018年12月10日

【将来の財政負担を軽減しながら、成果をきっちり出す手段としてのSIB】(30年12月定例議会一般質問2日目)

【将来の財政負担を軽減しながら、成果をきっちり出す手段としてのSIB】

(30年12月定例議会一般質問2日目)



一般質問2日目の、加藤ゆうすけの質疑以外で気になったことを紹介します。

■ソーシャル・インパクト・ボンド(以下SIB)の導入可能性について


渡辺議員の質疑の中で、「がん検診や精密検査の受診率向上のため、ソーシャル・インパクト・ボンドの活用を検討することについて」取り上げられていました。

ソーシャル・インパクト・ボンドとは、2010 年にイギリスで始まった官民連携の仕組みの一つで、行政、民間事業者、出資者等が連携し、社会問題解決を目指す成果志向の取組のことです。行政が民間資金を活用して事業を行う成果連動型の仕組みであることが特徴です。

仕組みをお伝えすると、従来、公共事業として行われていた事業に対して、民間団体の知見・ノウハウを活用しつつ、出資者からの民間資金をその原資として投入するプロジェクトを立ち上げます。

これにより、効率的・効果的なサービス提供を行うことができ、行政が公共事業としておこなうよりも、高い効果が得られることが期待されます。

そして、事業終了後、行政はその「事業成果」等を原資として、成果報酬を出資者に支払います。「事業成果」とは、そのまま公共事業としてやり続けていたならば、将来行政が負担していたであろう社会的コスト(費用)がどれだけ効率化され、削減されたか、等を指しています。

つまり、

①行政にとって・・・将来かかる費用が削減できる。

②市民にとって・・・社会課題が解決される。しかも、より安く、より早く。

③出資者にとって・・・儲かる。

というのが、基本的なSIBを巡る構造です。

本市でも、吉田前市長のもとで2015年に、日本財団とともに特別養子縁組事業において試験的に導入し、実証実験を行ったことがあり、成果[1]もみられました。2017年には、神戸市が糖尿病性腎症等の重症化予防事業にSIBを導入[2]し、直近では広島県域6自治体の国民健康保険者を中心に、がんの早期発見による健康寿命の延伸、生活の質の向上を目的として、大腸がん検診の受診勧奨を行う事業へのSIB導入が2018年11月に発表されました。

今回の市長答弁や質疑では、あくまでも今後研究につとめるような意向が示されたのみでしたが、少子高齢化に伴う社会保障費の増大は明らかな中で、それでも必要な事業に対して予算が必要となる以上は、国や県とのつながりでもってこられるお金にも限界がでてきます。「自分たちのことを、自分たちで決める」ためにも、新しい財源や、手法について考えておくことは重要だと、私も思っています。



[1] ソーシャル ・ インパクト ・ボンド( SIB )を活用した横須賀市特別養子縁組実証事業 第三者評価報告書(2016 年3月) https://www.nippon-foundation.or.jp/news/articles/2016/img/63/2.pdf

p20. 「事業では、日本財団は 1 年で 4 件の特別養子縁組の成立を目標とし、資金提供を行っ た。結果として、現在進行中のケースを含め、本事業の実績は 3 件であった。全国区で支 援を展開するベアホープの 2014 年度の特別養子縁組成立実績は 8 件であり、これは他の民 間機関と比べてもかなり多い件数である。これまで全く実績のなかった横須賀市において 3 件は大きな成果であるし、横須賀市内の子どもに限定されている本事業としては、十分 な成果であると言える。」

[2] 日本総研 https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=31698

[3]https://www.k-three.org/blog/sib-hiroshima?fbclid=IwAR0L0-3ALeZWz7r7GdwVgSXF62AplpvXBoneXPlXPrA_Vw3nnHZCNxMLIV8

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