認知症は、何もかもわからなくなっちゃう病気じゃないです

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■認知症は、何もかもわからなくなっちゃう病気じゃないです

今日は、「第1回認知症フェスタ」というものに参加してきました。

「ぴんぴんころりが一番いいんだ!迷惑かけない!PPK!PPK!」

という考え方も有ると思います。

ただですね、2025年には約700万人の日本人(高齢者の5人に1人)が認知症を患う、と厚生労働省も予測している中で、当然に、「長く続く老後」が「全員ぴんぴん」だけってわけにもいかないと思うんです。そんな思いもあって、認知症についてもっと知ろうと、参加してきました。

「認知症」と一口に言っても、原因となる疾患(病気)はいろいろあるわけで、会の中でも内門大丈医師(湘南いなほクリニック)が、

  • アルツハイマー型認知症
  • レビー小体型認知症
  • 脳血管性認知症
  • 前頭側頭型認知症
  • その他いろいろ

とご紹介されていた通り、認知症になる原因もいろいろあれば、出始める症状もいろいろ。それを知ったうえで、認知症とどうつきあっていけばいいの?というのを知ることができた3時間でした。

第1部では内門医師のお話の前に、映画「認知症と向き合う」(東映株式会社 教育映像部)をみました。母の認知症がきっかけで、子ども夫婦と孫娘1人の生活の歯車が徐々におかしくなっていく→認知症の症状を理解するきっかけを得る→うまく付き合っていけるようになる という物語です。

心揺さぶられたとか色々感想はあるんですが認知症をもっと知るためのポイントとしては3つあったと感じています:

  1. 記憶になければ、本人にとってそれは事実ではない。
  2. 本人にとっての事実に、周りが合わせてあげることが必要。
  3. 認知症を患う本人は、鋭敏な感覚を持っている。

1.は、当たり前のことではあるのですが、認知症を患う本人を前にするとつい忘れてしまいそうです。「さっきやったでしょ!」といわれても、本人は覚えていないわけですから、本人にとってそれはやってないのと同じこと。

2.は、例えば作中では、故人である夫の帰りを待つ、といった描かれ方をしていました。「もうお父さん亡くなったでしょ!」ではなく、きっと電車が遅れているんだよ、などという対応が望ましいとされていました。時には演技も必要である、とも述べられていました。

3.ですが、一人の大人として尊重し、敬意をもって接することが大切、ということでした。これは私にも少し後悔があります。私の祖母は脳血管障害で倒れ、そのまま寝たきりとなり、認知症を患い、半年ほどで亡くなりました。病室で祖母と向き合うとき、果たして自分は、元気だった祖母に接していたそれと同じように向き合えていたのか…と今でも後悔があります。

おそらく、24時間ずっとわからなかった、ということはけっしてなくて、24時間のうち1分でも2分でも、祖母が「かつての祖母」で在った瞬間があったはずで、その瞬間の祖母は、何を感じただろうか。

そして、認知症を患ってわからなくなっちゃった祖母は、「かつての祖母」とは全く違う人なのだ、というのもなんか違う気がします。映画の中でも登場人物が

「いろんなことを忘れてしまう。でも、『その人』であることに何も変わりはないのよ」

と述べていましたが、認知症は、何もかもわからなくなっちゃう病気ではない、ということへの理解が、認知症と向き合う上で一番大切なのではないか、と私は感じました。

■第2部では、パネルディスカッション【認知症カフェってどんなところ?】と題して、地域で認知症と向き合われているかたがたがご登壇されました。

  • 石塚千津子さん。グリーンハイツ「ゆいの広場」の代表。認知症カフェ「ら・らら」を実施。
  • 中島茂医師。糖尿病の専門医。認知症カフェ「中島カフェ」を実施。
  • 岸正晴さん。よこすか若年性認知症タンポポ。

今日、特に強く印象に残ったのが、岸さんのお話でした。

岸さんは、「ワイフ(※岸さん本人の表現)」が49歳でアルツハイマー型認知症を患って以来、ずっと家で「ワイフ」に寄り添い、介護を続けられています。明るいキャラクターでジョークを連発するのに、冒頭ではさらっと「私の腕の中で彼女の最期を看取れたら最高だなって。」って。って。もう、本当に、素敵でした。岸さん、ぜひ、もっとお話うかがいたいです。

若年性認知症は、65歳以下で認知症を発症することを言います。当然、日頃働いている人が、突然認知症と言い渡されることになるケースが多いわけです。

「本当は、どこかで働きたいと思っている人もいる。49歳で診断されたワイフは、仕事をクビになった。」と岸さんは語っていました。そして、「みんなで集まって体操しましょうね、ではなくて、みんなで働きに行くぞ、というデイサービスがあっていい」と提案されていました。

あぁ、そうだよな、700万人が認知症を患う社会って、そういうことが起きてくるんだよな、と改めて、この3時間の中で一番「あぁ…(深い納得感)」って。なりました。

近年、がんサバイバーの職場復帰がよくニュースに取り上げられますが、「現役の」認知症を患うかたにも、働き続けているかたはいらっしゃるわけで、むしろ、認知症の症状を和らげたり、認知症で損なわれた機能を周囲が補完しながら、何歳までも働き続けられる選択肢があるのが当たり前の社会に、21世紀はしていかねば、とおもいます。

だからこそ、「認知症は、なにもかもわからなくなっちゃう病気じゃないぞ」というのは、もっと伝えていかねば、と強く思った3時間でした。

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